チバカツカンパニー「10Lives美浜ねこの会」【2023年11月号】
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2023/10/31
以下は 1 年前に書かれた内容です
10Lives(千葉市美浜区)
2009年に設立。千葉市を中心に、地域猫の世話や譲渡会開催などのボランティア活動を展開。過酷な環境で生きる猫達が今以上に増えない社会作りを目指し、日々奮闘している。
https://10lives-mihamaneko.com/
2009年に設立。千葉市を中心に、地域猫の世話や譲渡会開催などのボランティア活動を展開。過酷な環境で生きる猫達が今以上に増えない社会作りを目指し、日々奮闘している。
https://10lives-mihamaneko.com/
動物愛護は愛だけではダメ 福祉の視点が必要なのです
先月号でお伝えした猫の変死事件。情報提供を呼び掛けている「10Lives美浜ねこの会」さんは、こうした問題に全力で取り組んでいらっしゃる愛護団体です。
今回改めて小誌編集部記者・稲しん子が代表の佐々木由紀子さんのもとを訪問。地域猫のこと、動物愛護のことなど、詳しくお話を伺ってきました。
今回改めて小誌編集部記者・稲しん子が代表の佐々木由紀子さんのもとを訪問。地域猫のこと、動物愛護のことなど、詳しくお話を伺ってきました。
スタッフがボランティアで頑張ってくれています
稲しん子(以下・稲)まず、取り組んでいらっしゃる保護猫活動について、詳しくお伺いしたいです。
佐々木さん(以下・佐)私たちが取り組んでいる活動は、まずは地域猫活動、啓発活動、それからキャットレスキュー活動。これが3本柱です。キャットレスキューというのは、例えば虐待が発覚したとか、助けてほしいと依頼があったら現場に駆けつける活動です。
稲・譲渡会も開催されていますよね。
佐・毎月第1日曜日に「ジョイフル本田」で、毎月第3日曜日には中央区の大覚寺というお寺で定期的に開催しています。大覚寺さんはちょっとしたご縁があり、保護猫活動を始める際に場所を貸してほしいとお願いしたところ、快く応じてくださいました。先代の住職がとても動物好きな方ですし、息子さんの現住職も慈愛にあふれた方。飼い主のいない猫は長く生きられない場合がほとんどですけれど、だからと言ってその命が軽いわけではなく、物でもないと、春と秋のお彼岸に必ず供養してくださっています。
稲・スタッフの方は何人くらいいらっしゃるんですか?
佐・約30人です。ボランティアで譲渡会などのお手伝いをしてくれたり、預かりをしてくれたり、地域猫関連の仕事をしてくれています。昨日もある企業の組合さんに地域猫の取り組みをしましょうとお話をしてきたんですけれど、そうは言っても外猫のお世話ができる人はなかなかいませんので、うちのスタッフの何人かがお手伝いに行っています。
佐々木さん(以下・佐)私たちが取り組んでいる活動は、まずは地域猫活動、啓発活動、それからキャットレスキュー活動。これが3本柱です。キャットレスキューというのは、例えば虐待が発覚したとか、助けてほしいと依頼があったら現場に駆けつける活動です。
稲・譲渡会も開催されていますよね。
佐・毎月第1日曜日に「ジョイフル本田」で、毎月第3日曜日には中央区の大覚寺というお寺で定期的に開催しています。大覚寺さんはちょっとしたご縁があり、保護猫活動を始める際に場所を貸してほしいとお願いしたところ、快く応じてくださいました。先代の住職がとても動物好きな方ですし、息子さんの現住職も慈愛にあふれた方。飼い主のいない猫は長く生きられない場合がほとんどですけれど、だからと言ってその命が軽いわけではなく、物でもないと、春と秋のお彼岸に必ず供養してくださっています。
稲・スタッフの方は何人くらいいらっしゃるんですか?
佐・約30人です。ボランティアで譲渡会などのお手伝いをしてくれたり、預かりをしてくれたり、地域猫関連の仕事をしてくれています。昨日もある企業の組合さんに地域猫の取り組みをしましょうとお話をしてきたんですけれど、そうは言っても外猫のお世話ができる人はなかなかいませんので、うちのスタッフの何人かがお手伝いに行っています。
不幸な猫をなくすため、殺処分をゼロにするために
稲・地域猫のお仕事というと、例えばどのような?
佐・ご飯をあげたり不妊去勢手術をしたりもしますが、それだけでは地域猫と呼べないのです。
稲・え? どういうことでしょう。
佐・地域猫というのは、文字通り地域で管理している猫のことで、環境省が作成したガイドラインには、地域住民とボランティア、行政の三者協働がポイントだと記されています。例えば公園を地域猫の場所にするとしたら、公園を管轄している役所と話し合って予算を取ってもらいます。それから、ルールの整備ですね。餌場をどこにするのか、誰がそれをやるのか、といったことを細かく決めていく。もちろん頭数の把握も必要ですし、病院で不妊去勢手術をしてもらわなければなりません。その上で、うちのスタッフが毎日通って餌をあげに行くわけですが、その都度「今日は何匹来ました」とか「誰々が姿を見せませんでした」とか、SNSで情報を共有します。怪我をしている猫がいれば治療したり、新人猫さんが来たらTNRしたりといったことも含めた管理全般をうちが請け負っているんです。
稲・TNRってなんですか。
佐・Trap・Neuter・Returnの頭文字を組み合わせたもので、捕獲して、不妊去勢手術を施し、桜の花みたいに耳をカットして、元の場所に戻すという意味です。
稲・頭数の把握やその日の状態まで細かく管理しないと地域猫と呼べないんですね。
佐・そう考えています。餌をあげたり去勢したりするだけでは足りない。福祉の観点で対応し、猫たちの快適を担保できるように管理することが必要なんです。
稲・それだけの活動をする資金って…。
佐・ほぼほぼ持ち出しです。スタッフの厚意で成り立っています。寄付などのご支援やグッズの売上げもあるにはありますけれど。商売だったらとっくに倒産です(笑)。
稲・地域猫に定義があると初めて知りました。行政から承認されるのですか?
佐・いえ、行政は場所が公園だからで、団地の自治会や町内会に予算を取っていただくケースもよくありますよ。
稲・自治会や町内会はどのように説得するのですか?
佐・みんながみんな猫好きとは限らず、糞尿被害などに困っていて、猫を減らしたいと考えている方が必ずいます。でも、私たちの活動目的も、不幸な猫をなくす、殺処分をゼロにするというところにありますから、その意味では利害が一致しているんです。猫にお困りでしたら減らしましょうと、減らすための具体策を提示すると、たいていは「減らしてくれるなら町内会から費用を出そう」と言ってくれます。
稲・なるほど。話の持って行き方次第なんですね。
佐・餌をあげている猫好きの人と、猫が増えて迷惑だと怒る猫嫌いの人の対立が同じ町内であったりしますが、きちんと地域猫にすることでその解消にも繋がります。TNRで去勢をして、一代限りの猫生を全うさせてあげるためにお世話をする人を決めて管理しましょう、
そうすれば猫好きの人も猫嫌いの人も全員が助かるし、町をきれいにできますよね、という流れでお話しさせていただいています。
稲・啓発活動は、具体的にどのような?
佐・参議院議員の串田誠一さんが熱心に取り組んでいらっしゃる動物愛護の活動を応援させていただいているのですが、その中で「命の授業」というのがあります。動物愛護を福祉の視点からみんなに考えてもらおうという企画なのです。地域猫や、どうすれば外猫が減らせるか、殺処分をゼロにできるのか、猫以外の牛や豚など家畜のことなど、その時々でテーマは色々なのですけれど、動物にとっての快適についての考察を中心に、串田さんや千葉市議の椛澤洋平さん、松井かよ子さん、荒川区議の宮本舜馬さんといった動物愛護に力を尽くしていらっしゃる先生方に超党派で講演していただいています。
稲・そういえば、今よくアニマル・ウェルフェアって耳にします。
佐・動物愛護は愛するだけではダメで、福祉の考え方で取り組むことが重要なんです。地球全体の中で人間を含めた動物のすべてが共生していくには何をすべきで何をすべきでないか、エシカル(倫理的)に考えなければなりません。私たちは、地域猫や保護猫とともに、今後も啓発活動に熱を入れて取り組んでいきたいと思っています。とても残念なことに、日本は動物愛護の面では著しく遅れている国ですから。
稲・弊社も猫好きの人間が多いので、できることがあれば協力を惜しみません。今日はありがとうございました。
佐・ご飯をあげたり不妊去勢手術をしたりもしますが、それだけでは地域猫と呼べないのです。
稲・え? どういうことでしょう。
佐・地域猫というのは、文字通り地域で管理している猫のことで、環境省が作成したガイドラインには、地域住民とボランティア、行政の三者協働がポイントだと記されています。例えば公園を地域猫の場所にするとしたら、公園を管轄している役所と話し合って予算を取ってもらいます。それから、ルールの整備ですね。餌場をどこにするのか、誰がそれをやるのか、といったことを細かく決めていく。もちろん頭数の把握も必要ですし、病院で不妊去勢手術をしてもらわなければなりません。その上で、うちのスタッフが毎日通って餌をあげに行くわけですが、その都度「今日は何匹来ました」とか「誰々が姿を見せませんでした」とか、SNSで情報を共有します。怪我をしている猫がいれば治療したり、新人猫さんが来たらTNRしたりといったことも含めた管理全般をうちが請け負っているんです。
稲・TNRってなんですか。
佐・Trap・Neuter・Returnの頭文字を組み合わせたもので、捕獲して、不妊去勢手術を施し、桜の花みたいに耳をカットして、元の場所に戻すという意味です。
稲・頭数の把握やその日の状態まで細かく管理しないと地域猫と呼べないんですね。
佐・そう考えています。餌をあげたり去勢したりするだけでは足りない。福祉の観点で対応し、猫たちの快適を担保できるように管理することが必要なんです。
稲・それだけの活動をする資金って…。
佐・ほぼほぼ持ち出しです。スタッフの厚意で成り立っています。寄付などのご支援やグッズの売上げもあるにはありますけれど。商売だったらとっくに倒産です(笑)。
稲・地域猫に定義があると初めて知りました。行政から承認されるのですか?
佐・いえ、行政は場所が公園だからで、団地の自治会や町内会に予算を取っていただくケースもよくありますよ。
稲・自治会や町内会はどのように説得するのですか?
佐・みんながみんな猫好きとは限らず、糞尿被害などに困っていて、猫を減らしたいと考えている方が必ずいます。でも、私たちの活動目的も、不幸な猫をなくす、殺処分をゼロにするというところにありますから、その意味では利害が一致しているんです。猫にお困りでしたら減らしましょうと、減らすための具体策を提示すると、たいていは「減らしてくれるなら町内会から費用を出そう」と言ってくれます。
稲・なるほど。話の持って行き方次第なんですね。
佐・餌をあげている猫好きの人と、猫が増えて迷惑だと怒る猫嫌いの人の対立が同じ町内であったりしますが、きちんと地域猫にすることでその解消にも繋がります。TNRで去勢をして、一代限りの猫生を全うさせてあげるためにお世話をする人を決めて管理しましょう、
そうすれば猫好きの人も猫嫌いの人も全員が助かるし、町をきれいにできますよね、という流れでお話しさせていただいています。
稲・啓発活動は、具体的にどのような?
佐・参議院議員の串田誠一さんが熱心に取り組んでいらっしゃる動物愛護の活動を応援させていただいているのですが、その中で「命の授業」というのがあります。動物愛護を福祉の視点からみんなに考えてもらおうという企画なのです。地域猫や、どうすれば外猫が減らせるか、殺処分をゼロにできるのか、猫以外の牛や豚など家畜のことなど、その時々でテーマは色々なのですけれど、動物にとっての快適についての考察を中心に、串田さんや千葉市議の椛澤洋平さん、松井かよ子さん、荒川区議の宮本舜馬さんといった動物愛護に力を尽くしていらっしゃる先生方に超党派で講演していただいています。
稲・そういえば、今よくアニマル・ウェルフェアって耳にします。
佐・動物愛護は愛するだけではダメで、福祉の考え方で取り組むことが重要なんです。地球全体の中で人間を含めた動物のすべてが共生していくには何をすべきで何をすべきでないか、エシカル(倫理的)に考えなければなりません。私たちは、地域猫や保護猫とともに、今後も啓発活動に熱を入れて取り組んでいきたいと思っています。とても残念なことに、日本は動物愛護の面では著しく遅れている国ですから。
稲・弊社も猫好きの人間が多いので、できることがあれば協力を惜しみません。今日はありがとうございました。
譲渡会インフォメーション
10Lives美浜ねこの会では、保護猫譲渡会を定期開催しています。猫を家族として迎え入れたいとお考えの方は、ぜひお立ち寄りください。
●毎月第1日曜日(12時~15時)
ジョイフル本田八千代店ペット館(八千代市村上2723-11)
●毎月第3日曜日(12時~15時)
松風山霊巖院大覚寺(千葉市中央区生実町1738)
※会場は変更になる場合がありますので詳しくは公式HP等で確認を。
●毎月第1日曜日(12時~15時)
ジョイフル本田八千代店ペット館(八千代市村上2723-11)
●毎月第3日曜日(12時~15時)
松風山霊巖院大覚寺(千葉市中央区生実町1738)
※会場は変更になる場合がありますので詳しくは公式HP等で確認を。
~美浜ねこの会からのお願い~
10月中旬、独居高齢者の方が急逝された際、遺されたペットが室内に閉じ込められたままになるという出来事がありました(現在は救助済み)。現行の法律では、このような場合、身内の方と連絡が取れない限りペットを連れ出すことができません。美浜ねこの会では、独居の方、特にご高齢の方は、生前にペット飼育の継承者を決めておくこと、万一の際の連絡先やペットの名前、頭数などを記したSOSカードの所持を推奨しています。大切なペットを不幸にしないためにも、何とぞご協力ください。
以上は 1 年前に書かれた内容です
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