チバカツカンパニー「いとなみ書店2.5」【2024年2月号】

  2024/1/29
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2023年10月、京成千葉線「みどり台」駅近くに開店。「いとなみの中にはたらくを」をコンセプトとする地域密着採用支援企業・株式会社キウが運営する。店名に付いた「2.5」は、店舗の面積が2.5坪であることに因む。

地域の企業と人をもっと近づけたい。それが書店を始めた理由です。

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閑静な邸宅街を進んでいくと現れる、こぢんまりと愛らしい店構え。小紙編集部記者・稲しん子が今回訪ねたのは、シェア型書店「いとなみ書店2・5」さんです。店主の中村千昌さんに、本に対する思いや、お店を開いた狙いなどについて伺ってきました。

並べた本を見れば、棚主の人柄も見えてくる

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稲しん子(以下・稲)いきなり初歩の質問ですが、シェア型書店とは何でしょう?

中村さん(以下・中)書棚を区切り、それぞれを借りた棚主さんが自分の本を売っている形式の書店です。
複数の人が販売スペースをシェアしているからシェア型書店と呼ばれます。小さな本屋が集まったアパートのようなものと考えてもらえれば。

稲・「いとなみ」という言葉には、どういった意味を込めているのですか?
中・一般的に、仕事とプライベートは別物という意識がありますよね。仕事は義務としてやらされるもので、自分らしさはプライベートの時間に見つけようとします。
けれど、生きること全体から見た時、並列で捉えた方が、もっと心地よくのびのびできる気がするのです。そういうあり方をひと言で表した言葉が「いとなみ」。普段の暮らしの中で、仕事もプライベートもそれぞれが楽しみの一つになればと思います。

稲・いつもの日常とか、生き方みたいなことでしょうか。

中・地域の人々のいとなみがまじわるところがこの書店、というイメージです。

稲・売り物の本は古書ということになりますか?

中・そうです。営業形態としては古物商、つまり古本屋さんです。基本的には棚主さんが読んだ書籍を販売していますが、中にはご自身たちで作った同人誌や新刊を売っている棚主さんもいます。

稲・棚の利用料は?

中・一般棚が月千500円で、本1冊売れるごとに販売手数料を100円いただいています。社長棚は月3千円で販売手数料なしです。

稲・社長棚とは何でしょう?

中・企業の経営者の方が読んだ本、お薦めしたい本を売る棚です。私はもともと千葉市内にある中小企業の採用支援を仕事にしているのですが、その中で痛感するのは、地域住人の方々が、地元の中小企業についてほとんど知らないことです。自分が暮らしている生活エリアにどんな会社があってどんな仕事しているのか、情報もなければ関心も薄い。だから働き手を募集している地元の優れた企業の存在を知ってもらえる方法はないかなと考えたのが、このシェア型書店を始めるきっかけです。書店なら、地域の人が立ち寄ってみたくなるだろうし、社長棚に並んでいる本を見て「面白い本を読んでいるな」とか「自分と趣味の傾向が似ているな」などと興味を持ってもらえるかもしれない。中小企業で働くって、仕事内容もですけれど経営者との相性も重要だったりするので、社長の人柄が地域の人々に伝わるようにする上で、本というツールが役に立ってくれるのではと思います。

稲・なるほど。ウェブサイトやSNSといったネットではなくて、アナログな交流方法を選択したのは面白いですね。

中・採用支援はウェブでも実施しています。けれど、結局のところ応募してくるのは近隣エリアの人なので、世界中に発信する必要はなかったりしますから。

棚主さん同士の交流会を定期的に開催していく予定

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稲・ところで、棚主さんはどういった方が多いですか?

中・それはもうそれぞれに個性があって、一概には言えません。
本のコレクターという方もいますし、翻訳家の方や、幼稚園の先生二人組の棚主さんもいます。ただ、一つ共通して言えることは、皆さん大の本好き。思い思いに工夫を凝らして書棚づくりを楽しんでいらっしゃいます。月ごとに特集を組んで、そのテーマに沿って本を並べ替える方がいたり、「なぜこんな本を買ってしまったのだろう」という本を敢えてお薦めしている棚主さんもいたり。本の種類も傾向も違うし、
書棚のレイアウトもそれぞれなので、本って実に奥深いなと改めて思いました。

稲・それは面白いですね。ちなみに棚主さん同士の交流はありますか?

中・棚主交流会を定期的に開催していこうと思っています。初回は1月に予定していて、テレビの取材も来てくれることになっています。

稲・へぇ、それはすごいですね。棚主交流会ってどんな内容になりそうですか?

中・棚主さんに、自分の棚づくりで意識していることや、得意なことなどを回ごとに持ち回りで発表してもらおうと考えています。

稲・今後の計画として、どんなことを予定していますか?

中・地域の人々と地元企業の繋がりをつくるという社長棚を設置した目的をしっかり伝えられるようにしていきたいです。例えば社長さんと公園でランチする、みたいな企画で接点を作っていくとか、何か良い手を考えていきたいです。また、他のシェア型書店とコラボして、スタンプラリーのようなイベントができたら面白そうですし、西千葉は学園都市なので、学生さんと協力して何ができるといいですね。
あとは、周辺のお店など地域との交流を広げていくこともこれからの課題だと思っています。

稲・地域に欠かせない交流拠点となるよう期待しています。今日は興味深いお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。

(令和5年12月12日取材)
【取材後記】

 1月14日(日)に開催された「棚主交流会」には10名の棚主が参加。テレビ局の取材も入り、その様子は1月19日(金)にNHK「おはよう日本」で放送された。
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千葉市内を中心に配布しているフリーペーパー「稲毛新聞」です。 平成8年に創刊、おかげさまで2021年には創刊25周年300号を迎えました。 地域...
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