新ちばカツカンパニー「フォトスタジオ カツミ」【2024年3月号】

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  2024/2/27
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フォトスタジオ カツミ(千葉市稲毛区小仲台)

1990年、稲毛区に開業。1999年に「小仲台坂通り」沿いの地に移転し、現在に至る。証明写真や記念写真、スマホやデジカメ写真プリントなど、質の高い写真を残したい顧客の要望に幅広く応えている。

写真館は人々の幸せな瞬間に立ち会う仕事

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今回、ご紹介するのは稲毛の老舗写真館「フォトスタジオカツミ」。本紙編集部記者・稲しん子を温かく迎えてくださったのはご主人のフォトグラファー・伊庭克己さんです。お話を伺うにつれ、誠実で心遣い細やかなお人柄が伝わってきました。

撮影前のコミュニケーションが重要

稲しん子(以下・稲)写真館で撮影というお仕事をする上で、気をつけていることは何でしょうか。

伊庭さん(以下・伊)証明写真の場合は、例えば受験用ならやる気を撮れるように。就職用なら清潔感を表現できるといいと思っています。記念写真の場合は、人柄まで捉えられたらベストなのですが、その域に到達するのは難しいですね。写真からその人の声が聞こえる、そんな写真が撮れれば理想的です。

稲・息づかいがリアルに伝わってくるような?

伊・笑顔を撮った写真をご覧になって、「笑い声が聞こえるようだ」と仰っていただけたりすると、本当に嬉しいです。

稲・プロの技術だからこそ実現できる境地ですね。

伊・記念写真やポートレートの場合は影を上手く使うといい雰囲気が出てきます。同じ立ちポーズでも、少し横を向くだけでまったく違う表現になったり。飛び込みでいらっしゃった場合もしっかり撮らせていただきますが、できれば前もって撮り方を打ち合わせしたいですね。家族構成によって並び方を工夫すべき時もあるので、関係性はできれば事前に聞いておきたいです。

稲・撮影以前のコミュニケーションも重要なコツの一つだ、と。

伊・初対面と2回目は挨拶も変わるでしょう? 「初めまして」と「こんにちは」では、表情の柔らかさがまったく違うのです。振り袖などでは衣裳合わせで来てくれた際にコミュニケーションが取れるので、その点は心配ないのですけれど。

稲・お店に入ってすぐの所に衣裳がたくさん並んでいて、壮観です。

伊・衣裳は流行を追いかけると数年後には古いデザインになってしまう難しさがあります。ですから、貸衣裳屋さんと提携して、最新の流行のものはモニター画面で選んでもらえるようにしています。ただ、実物を試着して選びたい方はある程度いらっしゃいます。うちにある衣裳の中で似たものを羽織っていただいて、できるだけ実際に近い感覚で選んでもらえるようにはしています。

稲・細かいご配慮ですね。常連のお客様も多いでしょう?

伊・30年来のお付き合いになる方もいます。最初は夫婦二人で来て、何年かたつと子供が一人二人と生まれて、年月とともに家族が次第に増えていく。今はもうお孫さんを連れてご来店いただいています。

稲・家族の成長をずっと見守ってきたわけですか。

伊・結婚して、子供ができて、その子供の家族もできる。木の枝のように広がっていくんです。先日も、毎年撮影させていただいているお客様が家族写真のアルバムを持ってきて見せてくれたのですが、家族の変化や歴史を辿るのは楽しかったですよ。

稲・家族の時の流れを記録するお仕事。素敵です。

伊・お祝い事で撮りに来る方が多いですから。家族の最も輝いている瞬間にいくつも立ち会っています。

稲・幸せのお裾分けもありますね。地元に愛される写真屋さんという感じ。

伊・そういえば昔は「あなたの街の写真屋さん」というキャッチフレーズで商売していました。ここまでやってこられたのは、地域のお客様に色々と助けてもらったからだと思います。

稲・今までで嬉しかったことは?

伊・小さい頃に撮っていた人が大人になって戻ってきてくれたり、何世代にもわたって贔屓にしてくれたりというのは嬉しいですね。あと、仕上がった写真をお渡しする時、「ありがとうございます」と皆様感謝してくださるのですが、本来お礼を言わなければいけないのはこちら。お金をいただく立場で感謝ももらえるなんて、恵まれた仕事だと思います。

家族写真は「見えること」が大切

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稲・かつてはフィルムが主流で、今はデジタル。すっかり時代が様変わりしてしまいましたが、昭和に流行したフィルムカメラを今の若い人たちが面白がって使ったりもしています。

伊・アナログの時代はアルバムに整理するものだったので、家族の歴史が目に見える形で残りました。今はデジカメやスマホで撮ったら撮ったきりで、必要最小限しかプリントしないでしょう? 子供が自分の写真を見たことがないということも普通にあるようです。パソコンにしまい込むのではなく、プリントして保管してほしい。家族はお互いに「見えること」が必要だと思うのです。

稲・うーん…。今は写真をプリントする機会が確かに減っているかも…。ところで出張撮影など、外での撮影もやっていらっしゃるのですか?

伊・外に出るとスタジオが留守になってしまうため、今まではやりたくてもできなかったんです。でも、1年ほど前に神奈川で修行していた息子が戻ってきたので、これからは出張に行けるようになりました。学校写真などもやらせてもらえるならやってみたいですね。

稲・学校写真というと卒業アルバムなどでしょうか?

伊・ええ。ただ、参入が難しいんですよ。だいたいどこの学校も専属みたいに決まった写真屋さんがいるので、こちらに話が来るとしたら、生徒数が減少してひとクラスしかないような、規模の小さな学校。「今年限りかもしれないですけれど撮ってもらえませんか」という依頼は今までもかなりあったんです。これからは、できる範囲でこうした学校や幼稚園などにも出向いていきたいと思います。

稲・地域の学校や幼稚園ですか。それはいいですね。

伊・もう一つ、力を入れていきたいと考えているのが遺影写真です。

稲・なるほど、終活ブームの昨今だから。

伊・今でこそまだそれほど多くはないものの、「遺影写真を撮ってほしい」というお客様が少しずつ増えていることは確かです。自分らしい姿を後世に残すという意味でも大切な一枚になりますから、心を込めて撮ってあげたいと思います。

稲・写真館は人生に寄り添うお仕事なのだとつくづく思います。本日はありがとうございました。
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