急傾斜地の解体現場で工事中断 稲毛で高まる住民不安【稲毛新聞2025年6月号】
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2025/6/5
京成稲毛駅から千葉方面へ線路沿いに進んだ稲毛区稲毛東2丁目の住宅街の一角。この場所での建物解体工事が昨年末から中断したまま放置されているのをご存じの方もいるだろう。稲毛新聞にはこの解体工事現場の近隣住民から不安と困惑の声が寄せられている。
建物に接する崖を支えているのは擁壁ではなく、なんと解体中の建物の壁であることから、この壁を解体することができないという。 現場近くを通るたびに「もし豪雨にでもなったら…」「もし大きな地震が起きたら…」と、近隣住民でなくても不安を覚える場所になっている。
建物に接する崖を支えているのは擁壁ではなく、なんと解体中の建物の壁であることから、この壁を解体することができないという。 現場近くを通るたびに「もし豪雨にでもなったら…」「もし大きな地震が起きたら…」と、近隣住民でなくても不安を覚える場所になっている。
崖を建物が支えている驚きの構造

稲毛東2丁目の現地を取材すると、3~4階建ての宿舎だった建物の裏が斜面になっていた。そして崖の上には市道が通っている。その崖に接するように建っていたのが解体前の建物だ。建物は斜面に接しており、崖を支える擁壁や石垣はない。驚くことに建物が崖を支えている構造になっていた。解体工事の関係者によれば、「このまま解体工事を進めれば斜面が崩壊しかねないから工事を中断している」とのこと。
建物が接している斜面の他にも、隣接する一部の崖は危険区域の告示が立てられている場所もある。傾斜30度以上、高さ5メートル以上の場所であることから、千葉県知事が危険区域に指定しており、工事には制限がある。
解体中の建物の壁が支えている崖は、危険区域に指定されてはいないものの、危険であることは一目瞭然だ。工事中断で取り残された建物の外壁が今後、何かのきっかけで壊れれば、崖が崩壊して市道が崩れ落ち、さらには崖上の土地一帯が崩れる恐れもあり、そうなると重大事故につながる可能性も秘めている。
建物が接している斜面の他にも、隣接する一部の崖は危険区域の告示が立てられている場所もある。傾斜30度以上、高さ5メートル以上の場所であることから、千葉県知事が危険区域に指定しており、工事には制限がある。
解体中の建物の壁が支えている崖は、危険区域に指定されてはいないものの、危険であることは一目瞭然だ。工事中断で取り残された建物の外壁が今後、何かのきっかけで壊れれば、崖が崩壊して市道が崩れ落ち、さらには崖上の土地一帯が崩れる恐れもあり、そうなると重大事故につながる可能性も秘めている。
私有地のため周辺の安全対策も不十分か

中断された工事現場には立ち入り禁止のロープや柵などもなく、安全対策が行われていないことに地域住民は困惑している。子どもでも立ち入ることができてしまうため事故につながりかねないからだ。
さらに問題になっているのは、工事中断で取り残された建物の上部に、崖上の市道からだれでも簡単に侵入できること。高さがあるため転落する危険性も考えられる。本来なら安易に立ち入れないよう柵などの対策が必要だが、現場にはカラーコーン設置による注意喚起が行われている程度だった。
子どもを持つ近隣住民は昨年から不安だったと語った。「子どもが工事中の建物に入って遊ぶかもしれないと考えただけでも恐い。いつ事故が発生してもおかしくない場所だから、子どもたちには『あの工事現場には近づくな』と言ってあるが…」と心配は尽きないようだ。
さらに問題になっているのは、工事中断で取り残された建物の上部に、崖上の市道からだれでも簡単に侵入できること。高さがあるため転落する危険性も考えられる。本来なら安易に立ち入れないよう柵などの対策が必要だが、現場にはカラーコーン設置による注意喚起が行われている程度だった。
子どもを持つ近隣住民は昨年から不安だったと語った。「子どもが工事中の建物に入って遊ぶかもしれないと考えただけでも恐い。いつ事故が発生してもおかしくない場所だから、子どもたちには『あの工事現場には近づくな』と言ってあるが…」と心配は尽きないようだ。
求められるのは早急な安全対策
市民からの声を受けて調査を始めた千葉市議会議員の守屋聡氏に対し、市の土木事務所は「地権者は、解体と新たに建築する建物の工事を同時進行で行えるよう工事計画を立てているところ。私有地だから、危険防止のためとはいえ市が勝手に柵を作るわけにはいかない。市としては地権者に現場の安全対策をお願いするしかない」と回答したという。
工事現場では、いくら安全対策を施していても関係者以外の侵入などにより、予想外の事故が起こる場合がある。そのため物理的に立ち入りを制限できるよう障壁を設置したり、危険箇所であることを周囲に知らせる看板等の設置は、地権者や工事請負業者の最低限の責務だ。
しかし、稲毛周辺では今回の現場以外にも安全対策が行われていない現場を見かけることから、危険な工事現場は千葉市全体にも点在している可能性がある。そのような危険な工事現場について、市は地権者へ対策を「お願い」するだけで、実際には対応がなかなか進まないのが現実だ。今回のケースのように、住民に危険が及ぶかもしれない工事現場であっても、自治体が法的にこれ以上対処できないというシステム自体が重篤な課題ではないだろうか。
工事現場では、いくら安全対策を施していても関係者以外の侵入などにより、予想外の事故が起こる場合がある。そのため物理的に立ち入りを制限できるよう障壁を設置したり、危険箇所であることを周囲に知らせる看板等の設置は、地権者や工事請負業者の最低限の責務だ。
しかし、稲毛周辺では今回の現場以外にも安全対策が行われていない現場を見かけることから、危険な工事現場は千葉市全体にも点在している可能性がある。そのような危険な工事現場について、市は地権者へ対策を「お願い」するだけで、実際には対応がなかなか進まないのが現実だ。今回のケースのように、住民に危険が及ぶかもしれない工事現場であっても、自治体が法的にこれ以上対処できないというシステム自体が重篤な課題ではないだろうか。
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