急傾斜地の解体現場で工事中断 稲毛で高まる住民不安【稲毛新聞2025年6月号】

  882
  2025/6/5
ポスト シェア シェア 送る

京成稲毛駅から千葉方面へ線路沿いに進んだ稲毛区稲毛東2丁目の住宅街の一角。この場所での建物解体工事が昨年末から中断したまま放置されているのをご存じの方もいるだろう。稲毛新聞にはこの解体工事現場の近隣住民から不安と困惑の声が寄せられている。

建物に接する崖を支えているのは擁壁ではなく、なんと解体中の建物の壁であることから、この壁を解体することができないという。 現場近くを通るたびに「もし豪雨にでもなったら…」「もし大きな地震が起きたら…」と、近隣住民でなくても不安を覚える場所になっている。 

崖を建物が支えている驚きの構造

17202505301259240.jpg
 稲毛東2丁目の現地を取材すると、3~4階建ての宿舎だった建物の裏が斜面になっていた。そして崖の上には市道が通っている。その崖に接するように建っていたのが解体前の建物だ。建物は斜面に接しており、崖を支える擁壁や石垣はない。驚くことに建物が崖を支えている構造になっていた。解体工事の関係者によれば、「このまま解体工事を進めれば斜面が崩壊しかねないから工事を中断している」とのこと。
 
 建物が接している斜面の他にも、隣接する一部の崖は危険区域の告示が立てられている場所もある。傾斜30度以上、高さ5メートル以上の場所であることから、千葉県知事が危険区域に指定しており、工事には制限がある。
 
 解体中の建物の壁が支えている崖は、危険区域に指定されてはいないものの、危険であることは一目瞭然だ。工事中断で取り残された建物の外壁が今後、何かのきっかけで壊れれば、崖が崩壊して市道が崩れ落ち、さらには崖上の土地一帯が崩れる恐れもあり、そうなると重大事故につながる可能性も秘めている。

私有地のため周辺の安全対策も不十分か 

17202505301258490.jpg
 中断された工事現場には立ち入り禁止のロープや柵などもなく、安全対策が行われていないことに地域住民は困惑している。子どもでも立ち入ることができてしまうため事故につながりかねないからだ。

さらに問題になっているのは、工事中断で取り残された建物の上部に、崖上の市道からだれでも簡単に侵入できること。高さがあるため転落する危険性も考えられる。本来なら安易に立ち入れないよう柵などの対策が必要だが、現場にはカラーコーン設置による注意喚起が行われている程度だった。
 
 子どもを持つ近隣住民は昨年から不安だったと語った。「子どもが工事中の建物に入って遊ぶかもしれないと考えただけでも恐い。いつ事故が発生してもおかしくない場所だから、子どもたちには『あの工事現場には近づくな』と言ってあるが…」と心配は尽きないようだ。
 

求められるのは早急な安全対策 

 市民からの声を受けて調査を始めた千葉市議会議員の守屋聡氏に対し、市の土木事務所は「地権者は、解体と新たに建築する建物の工事を同時進行で行えるよう工事計画を立てているところ。私有地だから、危険防止のためとはいえ市が勝手に柵を作るわけにはいかない。市としては地権者に現場の安全対策をお願いするしかない」と回答したという。

 工事現場では、いくら安全対策を施していても関係者以外の侵入などにより、予想外の事故が起こる場合がある。そのため物理的に立ち入りを制限できるよう障壁を設置したり、危険箇所であることを周囲に知らせる看板等の設置は、地権者や工事請負業者の最低限の責務だ。
 
 しかし、稲毛周辺では今回の現場以外にも安全対策が行われていない現場を見かけることから、危険な工事現場は千葉市全体にも点在している可能性がある。そのような危険な工事現場について、市は地権者へ対策を「お願い」するだけで、実際には対応がなかなか進まないのが現実だ。今回のケースのように、住民に危険が及ぶかもしれない工事現場であっても、自治体が法的にこれ以上対処できないというシステム自体が重篤な課題ではないだろうか。 
このまとめ記事の作者
稲毛新聞
稲毛新聞
千葉市内を中心に配布しているフリーペーパー「稲毛新聞」は、地元のニュースを取り上げ読者にお届けしています。平成8年に創刊、おかげさまで202...
プロフィールや他の投稿を見る
このまとめ記事をお気に入り登録:
ログインしてコメントしよう!

ポスト シェア シェア 送る

マリン移転へ!ボールパーク構想実現【稲毛新聞2025年6月号】


2025/6/5    168

セイラーズがロッテと千葉ダービーで対決【稲毛新聞2025年6月号】


2025/6/5    145

建築士の仕事展(建築相談会)6月29日(日)開催【稲毛新聞2025年6月号】


2025/6/5    34

千葉彩景 浅葱色の羽を広げ飛翔する「オナガ」【稲毛新聞2025年6月号】


2025/6/5    25

他のまとめ記事

7月25日(火)の運航状況

さんばしひろば
2023/7/25    402

イオンモールビアフェス2024

千葉市
2024/7/11    1148

7月月曜名画座 「私を野球に連れてって」

千葉市
2024/6/24    317

同じカテゴリーのコネタ

NPO法人すくえ・あ
親子さあくるもこぴっと
2023/10/271 年前  -  №14730   930
指リズム遊び、読み聞かせ、五感を刺激して作るクリスマスツリー作り
NPO法人すくえ・あ
親子さあくるもこぴっと
2023/5/232 年前  -  №13749   1127
EQ子育てもこぴっと中央区体験会募集中!!
ぎみちゃんのつぶやき
ぎみ
2019/8/65 年前  -  №5404   3357
343201908061919592.jpg
解体工事が進む、京成千葉中央駅西口ビル
Chun*のページ
chun*
2023/5/32 年前  -  №13637   1271
869202305031906160.jpg
ポートタワー4階から
ことだまブレスレット
言霊(ことだま)には力がある

木花咲耶姫
木花咲耶姫
2019/9/305 年前  -  №5890   2116
325201909301247330.jpg
千葉駅構内 common cafe
ぎみちゃんのつぶやき
ぎみ
2019/7/55 年前  -  №5189   2650
343201907052241531.jpg
千葉市も自然災害に十分注意を。