お金とモノの時代から人と社会の時代へ 「笑顔のコミュニティー株式会社」【2024年9月号】

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  2024/9/4
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「笑顔のコミュニティー株式会社」(千葉市中央区)
みずほ銀行の役員、第一勧業信用組合の理事長を歴任した新田信行さんが生まれ故郷の蘇我に設立。瞳さんとともに地域活性や人同士の繋がりを作る各種の事業を展開する。信行さんはちばのWA地域づくり基金、ちいきん会代表理事など多くの公益法人で役職を務める一方、千葉県出身の大関・琴櫻将傑関の後援会長でもある。

新ちばカツカンパニー「千葉の活躍企業訪問記」

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人同士の繋がりや絆、助け合える社会を取り戻し、地域活性を図る。そんな素晴らしい取り組みをしている企業があります。本紙編集部記者・稲しん子が訪問したのは笑顔のコミュニティー。代表取締役の新田信行さんと、ご子息のお嫁さんで社員の瞳さんにお話を伺いました。

地元の企業家を地域で応援する「ちいクラ」

稲しん子(以下・稲)「地域クラウド交流会」というプロジェクトの開催に関わっていらっしゃるそうですが。

新田信行さん(以下・信)ぼくは蘇我で古くから続いている家柄の生まれで、根っからの地元民です。3年前、金融関係の仕事を65歳で退職し、さてこれからどうしようと考えた際に、生まれ故郷の千葉に役立つことをしたいと思ったことが、千葉の「地域クラウド交流会」開催に結び付きました。

稲・どういった性質の催しなのですか?

新田瞳さん(以下・瞳)地域の起業家と、それを応援したい地域住民とを繋げて地域活性化を促すことを目的とした交流会形式のイベントで、「ちいクラ」と略して呼ばれます。IT企業のサイボウズが全面的にバックアップしてくれています。日本各地、海外も含めて188回(※インタビュー日時点)開かれているのですが、実は2015年の第1回が行われたのが千葉市。千葉から全国に広がっていった活動なのです。先ほど父が言った千葉の「ちいクラ」とは2023年に千葉市では第3回目、7年振りの開催のことで、私たち笑顔のコミュニティーが運営者となり、オーガナイザーは私が務めさせていただきました。その時の手応えがすごく熱かったのです。大勢の方に引き続きの開催を望まれまして、2024年5月に第4回千葉市大会を開催するに至りました。

稲・具体的にはどんな内容でやっていらっしゃるのでしょう?

瞳・メインとなるのは起業家プレゼン。5名の地域の起業家の方々が登壇してご自身が行っている事業に関するプレゼンテーションを行います。そして、集まった参加者からのクラウドファンディングを投票形式で募るのです。

稲・これはと思った起業家に地元の人々がクラウドファンディングで支援できる?

瞳・地域に役立つ仕事をしたい起業家と、地域を応援したい人々との繋がりを作ることで新しいチームが生まれ、地域活性の力が広がっていくわけです。「ちいクラ」のテーマワードが「つながる。広がる。うまれる。」というのですが、まさにそういうことだと思います。9月には福島県の郡山市で「ちいクラ」の全国グランプリ大会があり、私も参加する予定なのですけれど、今度は全国規模で繋がりが生まれ、事業の広がりが生まれて、新しい何かが始まっていくのだと思うと胸が躍ります。

稲・5名の起業家がプレゼンすると仰いましたが、例えばどんな事業ですか?

信・5月に行った第4回では、5名のプレゼンター全員がソーシャルビジネスの起業家でした。

稲・ソーシャルビジネスと言いますと?

信・端的に言えば、社会が抱える課題の解決を目的としたビジネスのことです。例えば障害者雇用に関わることや、高齢者の介護、福祉、子育て支援、自然保護、外国人の雇用や居住など非常に多岐にわたります。

瞳・第4回では、女性の居場所や環境を整える事業をプレゼンされた方が優勝でした。両親の保護を受けられなかったり、行き場をなくした女の子を支援するといった取り組みです。シングルマザーのお家に子供の食事を届ける宅食事業で起業されたプレゼンターもいました。

居場所作りの活動に寄付で資金を回す「ちばのWA」

信・社会課題のベースにあるのはほとんどの場合、社会的孤立です。行政に頼ってどうにかできる段階ではなくなっていて、市民が資金を集めながら地域で活動に取り組んでいく形が広がってきています。千葉県では「公益財団法人ちばのWA地域づくり基金」という市民コミュニティ財団がありまして、寄付でお金を集め、こういったソーシャルな市民交流活動団体に資金を回しています。

稲・クラウドファンディングとか、寄付が新たな文化になりつつあったりしますか?

信・新たなと言うより、日本には古くから存在した精神です。二宮尊徳の報徳思想とか、大原幽学の先祖株組合とか聞いたことはないですか? 協力し合う、助け合うことの大切さを昔の日本人は理解していた。そうした相互扶助の精神を失ったのが戦後の高度経済成長の時代です。お金とモノがあふれる国になった代わりに心が貧しくなってしまったのだと思います。

稲・それがまた変化してきているということですか?

信・転機の一つが東日本大震災です。みんながボランティアで東北へ応援に行ったり、
寄付をしたりするのが普通のことになりました。クラウドファンディングが一般的になったのもその頃です。人と人との絆が薄くなっているのではという反省が生まれ、今はお金やモノの時代から人と社会とコミュニティの時代へ向かっているのは確かです。

稲・そう言えば私自身も、気の合う人と一緒に社会の役に立つ仕事がしたいと思うようになりました。

信・そういう人、増えていますよ。学生さんと話す機会がありますが、就職するならSDGsをしっかり実践している会社がいいとか、選択の基準が組織のブランド力や給料の額ではなくなってきている流れを感じます。

稲・では最後に、これからの計画についてお聞きしたいです。

信・まずは今年の11月に予定している次の「ちいクラ」を恙なく開催することですね。今後は千葉市だけではなく、千葉県全域に広げていけたらと。千葉は成田に空港があるでしょう? 世界の人がいちばん最初に出会う日本が千葉県なんです。国際化という観点からは、
すごく有利なポジションにある県だと思う。ほどよく都会でほどよく田舎、ぼくは「とかいなか」という言い方をしたりするのですけれど、千葉県はいろいろとちょうどいい「とかいなか」です。

瞳・私は将来的に出身地の富山で「ちいクラ」を開催するのが目標です。父は金融マンとしての知見を活かしてきましたけれど、私は趣味でフルマラソンをやっていたり、ランナーズマイスターの資格保持者でもあるので、スポーツとコミュニティを結び付ける形で自分なりのカラーを出せたらな、と。平凡な一主婦がここまでできるのかと思ってもらえたら理想的です。

稲・その思いが叶うことをお祈りしています。本日はありがとうございました。
第5回千葉地域クラウド交流会
2024年11月19日(火)19時より開催!
●定員/150名 
●参加費/1,000円
●会場/千葉商工会議所14階第1ホール
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千葉市内を中心に配布しているフリーペーパー「稲毛新聞」です。 平成8年に創刊、おかげさまで2021年には創刊25周年300号を迎えました。 地域...
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