チバカツカンパニー ㈱アルマ(千葉市中央区)【2022年11月号】
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2022/11/4 更新
以下は 2 年前に書かれた内容です
2003年に設立。障害のある方、高齢者の方が在宅で支援を受けられるよう、ニーズに応じたきめ細かな計画を立て、サービスを提供している。蓬田将博さんは会社員勤務を経て、ご両親の事業を引き継ぐ形で代表取締役に就任した。
障がい者・高齢者に対して重い責任を負う仕事。だからこそのやり甲斐も。
小誌編集部記者・稲しん子が今回訪ねたのは千葉市中央区の「株式会社アルマ」さん。アルマケアサービスとして、障害者や要介護者の居宅介護支援サービスを展開されています。相談支援専門員でもある代表取締役・蓬田将博さんに、福祉のお仕事で大切なことや、大変なことなどを伺ってきました。
福祉の仕事で大切なのは利用者が「自立」できること
稲しん子(以下・稲)実は今日、高齢者施設のような場所を想像して来たのですが、
入居者用の個室があるわけではないのですね。
蓬田さん(以下・蓬)そうですね。当社は障害者支援と高齢者支援の両方を行っていますが、いずれも在宅のご利用者さんが対象なので。
稲・ご利用者さんのお宅にヘルパーさんを派遣する形での支援をしていらっしゃる、と。アルマさんへ支援の依頼がある場合、どのような流れになるのですか?
蓬・ご利用者さんが役所に相談に行くと福祉サービスの事業所リストを渡されるので、それを見て連絡してくるパターンが一つ。もう一つは、障害支援は「基幹相談支援センター」、高齢支援なら「あんしんケアセンター」という福祉関係の相談窓口からの要請です。
あとは、病院から「退院後は福祉の支援を入れたいので準備をお願いします」と依頼されるパターン。だいたいこの3つが多いです。
稲・ヘルパーさんは何人くらいいらっしゃるのですか?
蓬・いまは13~14人くらいです。
稲・福祉のお仕事に関わる上で、大切なことって何でしょうか?
蓬・簡単に言いますと、「自立」ですね。助け過ぎると、本来の能力が衰えてしまう。立てる能力があったのに立てなくなったり、何もする気がなくなって、全部ヘルパーさん任せになったりするような事態に陥ってしまわないよう気をつけています。
稲・自分でできる範囲は自分でしましょう、みたいな?
蓬・できない部分だけはヘルパーさんが助けますけれど。できることは自分でというより、一緒に頑張りましょうという感じです。掃除でも洗濯でも何でもいいんですが、ヘルパーさんと一緒にやって、その中のほんの小さい部分だけでもできるところはやってもらう。その積み重ねが、自分で自分の生活をマネジメントしようという意識につながっていくのだと思います。
稲・確かに、人任せで自分では何もしなくなってしまうのは問題だと思います。
蓬・自立とひと言で言っていますが、本来は4つに分類できるんですよ。身体的自立、社会的自立、精神的自立、それと経済的自立。自分でやろうとせず、人に依存してしまうのは、精神的自立に難点があることになります。一日に何十回も電話してきたり、自分宛の文書を「読めない、理解できない」と言ってヘルパーさんに来てもらったりするケースはこれに相当します。
稲・そういう利用者の方とは、どうやって向き合っていらっしゃるのでしょうか?
蓬・基本的には否定も肯定もせず、フラットに話を聞くことを意識しています。共感するのは構いませんし、それは素晴らしいとか、よく頑張りましたとか、言うべき時には言いますけれど。
遠すぎるのはもちろんですが、近づきすぎてもよくないのですよ。
稲・距離感が難しそうですね。
蓬・難しいですよ。ただ、ご利用者さんにとっては経済的自立が最もハードルが高いと思います。自分自身でお金を稼いだり、生活保護や年金をやり繰りしながら生活する能力があるかどうかが問われますから。
入居者用の個室があるわけではないのですね。
蓬田さん(以下・蓬)そうですね。当社は障害者支援と高齢者支援の両方を行っていますが、いずれも在宅のご利用者さんが対象なので。
稲・ご利用者さんのお宅にヘルパーさんを派遣する形での支援をしていらっしゃる、と。アルマさんへ支援の依頼がある場合、どのような流れになるのですか?
蓬・ご利用者さんが役所に相談に行くと福祉サービスの事業所リストを渡されるので、それを見て連絡してくるパターンが一つ。もう一つは、障害支援は「基幹相談支援センター」、高齢支援なら「あんしんケアセンター」という福祉関係の相談窓口からの要請です。
あとは、病院から「退院後は福祉の支援を入れたいので準備をお願いします」と依頼されるパターン。だいたいこの3つが多いです。
稲・ヘルパーさんは何人くらいいらっしゃるのですか?
蓬・いまは13~14人くらいです。
稲・福祉のお仕事に関わる上で、大切なことって何でしょうか?
蓬・簡単に言いますと、「自立」ですね。助け過ぎると、本来の能力が衰えてしまう。立てる能力があったのに立てなくなったり、何もする気がなくなって、全部ヘルパーさん任せになったりするような事態に陥ってしまわないよう気をつけています。
稲・自分でできる範囲は自分でしましょう、みたいな?
蓬・できない部分だけはヘルパーさんが助けますけれど。できることは自分でというより、一緒に頑張りましょうという感じです。掃除でも洗濯でも何でもいいんですが、ヘルパーさんと一緒にやって、その中のほんの小さい部分だけでもできるところはやってもらう。その積み重ねが、自分で自分の生活をマネジメントしようという意識につながっていくのだと思います。
稲・確かに、人任せで自分では何もしなくなってしまうのは問題だと思います。
蓬・自立とひと言で言っていますが、本来は4つに分類できるんですよ。身体的自立、社会的自立、精神的自立、それと経済的自立。自分でやろうとせず、人に依存してしまうのは、精神的自立に難点があることになります。一日に何十回も電話してきたり、自分宛の文書を「読めない、理解できない」と言ってヘルパーさんに来てもらったりするケースはこれに相当します。
稲・そういう利用者の方とは、どうやって向き合っていらっしゃるのでしょうか?
蓬・基本的には否定も肯定もせず、フラットに話を聞くことを意識しています。共感するのは構いませんし、それは素晴らしいとか、よく頑張りましたとか、言うべき時には言いますけれど。
遠すぎるのはもちろんですが、近づきすぎてもよくないのですよ。
稲・距離感が難しそうですね。
蓬・難しいですよ。ただ、ご利用者さんにとっては経済的自立が最もハードルが高いと思います。自分自身でお金を稼いだり、生活保護や年金をやり繰りしながら生活する能力があるかどうかが問われますから。
自分たちが最後のセイフティーネットだと感じる時
稲・いまの悩みとか、苦労されていることをお聞きしてもいいですか?
蓬・悩みは無尽蔵にありますが(笑)、とりわけ大きいのは人手不足です。障害サービスを利用するに当たっては、「サービス等利用計画」という計画書を役所に出す必要があります。これは当社では私の担当なのですけれど、業界全体の課題として、この計画書をつくる相談支援専門員が少なすぎるんです。依頼が来ても、断らざるを得なかったりする。計画書の作成がこなしきれないんですよ。
稲・それはご利用者さんにとっても深刻な問題ですね。
蓬・はい。計画書を出さないと受給者証も発行されず、先に進めないことになるので。私自身も、限界を超えるくらいまで頑張ってはいるのですが。
稲・伺うほどに大変さが伝わってきますが、
お仕事の中で嬉しいと思うのはどういう時でしょうか?
蓬・単純に、喜んでいただいた時ですね。「ありがとうございました」と、本人からでなくても、ご家族が感謝の言葉を仰ってくれると、よかったと思います。
稲・究極の「人のためになる仕事」だという気がしますが、ご自身で福祉の仕事が向いていると思われますか?
蓬・どうでしょうね。この仕事をしていてたまに思うのは、私たちが最後のセイフティーネットになっているということ。私たちが支えられなくなったら、どうにもならなくなってしまう人が、かなりいらっしゃるのは事実なんです。
稲・ご利用者さんにとっては、生きていく上で必要不可欠なサービスですよね。だからこそ重責でもあるのでしょうけれど。
蓬・そこにやり甲斐を感じる面はあります。
例えば、刑務所を出所した人の面倒を見てくださいというような依頼があるわけです。罪を犯した背景に精神障害や発達障害などが関係してくるので、出所後、ちゃんと薬を飲んでいるかどうか、あるいは通院しているかどうかを、第三者が見守る必要があります。非常に難易度の高いケースなので、他の福祉サービスには断られてしまって、「アルマさん、何とかなりませんか」と持ち込まれてくるのです。
稲・そのようなケースも引き受けていらっしゃるんですか?
蓬・引き受けますね。もう後がない状態でうちに話が来ているのですから。再犯防止という見地からも、誰かが救わないと。
稲・何という奉仕の精神。感動しました。これからもどうか頑張ってください。
蓬・悩みは無尽蔵にありますが(笑)、とりわけ大きいのは人手不足です。障害サービスを利用するに当たっては、「サービス等利用計画」という計画書を役所に出す必要があります。これは当社では私の担当なのですけれど、業界全体の課題として、この計画書をつくる相談支援専門員が少なすぎるんです。依頼が来ても、断らざるを得なかったりする。計画書の作成がこなしきれないんですよ。
稲・それはご利用者さんにとっても深刻な問題ですね。
蓬・はい。計画書を出さないと受給者証も発行されず、先に進めないことになるので。私自身も、限界を超えるくらいまで頑張ってはいるのですが。
稲・伺うほどに大変さが伝わってきますが、
お仕事の中で嬉しいと思うのはどういう時でしょうか?
蓬・単純に、喜んでいただいた時ですね。「ありがとうございました」と、本人からでなくても、ご家族が感謝の言葉を仰ってくれると、よかったと思います。
稲・究極の「人のためになる仕事」だという気がしますが、ご自身で福祉の仕事が向いていると思われますか?
蓬・どうでしょうね。この仕事をしていてたまに思うのは、私たちが最後のセイフティーネットになっているということ。私たちが支えられなくなったら、どうにもならなくなってしまう人が、かなりいらっしゃるのは事実なんです。
稲・ご利用者さんにとっては、生きていく上で必要不可欠なサービスですよね。だからこそ重責でもあるのでしょうけれど。
蓬・そこにやり甲斐を感じる面はあります。
例えば、刑務所を出所した人の面倒を見てくださいというような依頼があるわけです。罪を犯した背景に精神障害や発達障害などが関係してくるので、出所後、ちゃんと薬を飲んでいるかどうか、あるいは通院しているかどうかを、第三者が見守る必要があります。非常に難易度の高いケースなので、他の福祉サービスには断られてしまって、「アルマさん、何とかなりませんか」と持ち込まれてくるのです。
稲・そのようなケースも引き受けていらっしゃるんですか?
蓬・引き受けますね。もう後がない状態でうちに話が来ているのですから。再犯防止という見地からも、誰かが救わないと。
稲・何という奉仕の精神。感動しました。これからもどうか頑張ってください。
以上は 2 年前に書かれた内容です
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