参院選が示す日本の転換点【稲毛新聞2025年8月号】

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  2025/7/31
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与党が歴史的大敗を喫した2025年参議院選挙、最大の勝者は劇的に議席を増やした国民民主党と参政党ではないか。両党とも積極財政を公約に掲げた点が共通している。今回政治の大きなうねりを生み出した背景について本紙で連載中(不定期)「千葉の近現代史を創った男の話」の主人公である櫻井俊雄氏は次のように総括した。

国民の危機意識と積極財政のジレンマ

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 かつて「中間層」と呼ばれた大多数の所得は伸び悩み、物価だけが上昇、賃金アップが追い付かず国民の不満はピークにある。加えて外国人の増加をめぐる社会的緊張や、投機的な不動産取得に端を発する地域紛争などが、日々国民の危機意識を増幅させてきた。千葉市内でも、若葉区で外国人が営むヤードの火災や騒音が問題化、テレビの情報番組にも取り上げられ、全国初の罰則付きヤード規制条例が制定されたことは記憶に新しい。
 
 一方で我が国の建設・介護・農林水産業・飲食業など多くの産業は人材不足、後継者不足などで、もはや外国人材なしでは成立しない状況にある。こうした「依存」と「緊張」の矛盾が、今回の選挙で鮮明に表れているのでは…と語る。結果的に千葉では与野党がそれぞれ議席を獲得、参政党は敗れたが政治の新たなうねりはここ千葉に押し寄せている。


選挙結果に見る「危機意識」と「期待」の共振
 
 今回の選挙で象徴的だったのは、同じ積極財政を標榜する「カリスマ党首」に率いられた参政党と、れいわ新選組の選挙結果だ。
 外国人問題とその対策を訴えた参政党が党勢を大きく拡大した一方、れいわ新選組がふるわなかったのは、上記のような「国民の外国人に対する危機意識」の現れとみることができるかもしれないと俊雄は考えている。ちなみに、3議席を争った千葉選挙区の結果では、参政党の候補者である中谷めぐ氏は約40万票を集め次点惜敗だった一方、れいわ新選組の山本なつみ氏は約18万6千票であり、参政党候補者の半分の票も集められなかった。


長期化する人口減少という「撤退戦」

 我が国経済の衰退は、労働と消費を支える人口の減少に起因する。総務省の「2024年度人口推計」によれば、前年から約89万人の日本人が減少した※。高齢者比率は増え続け、現役労働人口は減少の一途をたどっている。この「老大若小」の人口動態は、少なくとも2070年まで続く見通しだ。以上より、日本はこれから長期的な「経済撤退戦」を覚悟せざるを得ないと俊雄は危惧している。


増え続ける不満と不信の渦中で

 一方、団塊の世代の人々は、人口が増え続ける中で現役時代を送った。結果、頭ではわかっていても、我が国の縮小していく経済への不満や、増え続ける外国人に関する漠然とした不安感が澱のように日々蓄積されている。加えて、自民党における「政治と金」の不祥事が明るみに出ても、甘い対応に終始した政府や自民党への不信が、今回の選挙結果を生んだとも言える。


積極財政は可能か?

 確かに、現状の政治への怒りを表明する意味で、今回の選挙は大きな成果があったと言えよう。しかし一方で、今回の選挙結果が政治に求める「積極財政」は、はたして可能だろうかと俊雄は疑問に感じている。
 我が国は、統合政府で約700兆円の債務超過状態にある。一方で、財源の担保なき減税策や公共事業の拡大を推し進めれば、国際的な政府の信用は失われ、国債が売られるだろうと俊雄は予想する。
 自国通貨の発行権限がある国は財政破綻しない、という言説がある。しかし、国際的な「日本売り」は、そのような「机上の論理」を飛び越えて加速する可能性がある。
 以上より、今回の選挙結果は、日本の国力に対する国際的信用を大きく揺るがす転換点になるかもしれないと俊雄は危機感さえ覚えた。このような俊雄の発言は「財務省の手先」という批判が巻き起こるだろうが、それこそが現在の「不安と不満を背景とした社会のムード」なのだと。


次世代を見据えた選択

 民主主義国家の有権者には、未来を見据えた選択責任がある。無意味な我慢を強いる必要はないが、支え手となる現役世代の比率が低下すれば、税は上がり、公共サービスは低下する。その現実を踏まえ、「次世代の日本のため」に慎重な財政運営を選ぶ覚悟が求められているのではないだろうか。


千葉選挙区の結果

 国民民主党の新人小林氏が、現職の2人を凌いで1位で当選を果たしたのは、全国的に支持を広めた国民民主党の勢いを感じさせる結果であった。これまで、自由民主党が2議席を占めていたところ、今回の選挙では1議席の確保にとどまった。さらに現職の豊田氏が次点にすら入らなかったことは自民党にとって厳しい選挙戦の証左であった。また、先のとおり参政党の候補者である中谷めぐ氏が、3位当選の石井準一氏に肉薄する健闘をみせたことも特筆すべき結果だと俊雄は語った。
 政党等の推薦を受けずに独自の視点で選挙戦を闘い、無所属ながら7万票以上を獲得した大薄裕也氏、「テクノロジーで誰も取り残さない日本」をキャッチフレーズに選挙戦を闘った「チームみらい」の小林修平氏が約6万8千票を集めたことは、「若い世代への期待値」として印象に残る参院選だった。俊雄は彼らの今後の活躍に注目すると共に、今回野党で勢いに乗り切れなかった立憲民主党が、野党第一党としてどのように他党と連携していくのか、与党とどう対峙していくのか注目している。

※総務省「2024年(令和6年)人口推計」
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