チバカツカンパニー「いなびや」【2023年10月号】

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  2023/10/4
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以下は 1 年前に書かれた内容です

「いなびや」千葉稲毛ビール合同会社
(千葉市稲毛区稲毛東3丁目6-13)

小規模の醸造所を併設したビールパブ、いわゆる「ブルーパブ」。安房郡鋸南町や木更津市で地ビール製造に関わってきた岡村拓寛さんが代表社員となり、2023年7月に開業した。素材の吟味や配合など様々な工夫を施したオリジナルのビールがテーブル席で存分に楽しめる。また、テイクアウト用にカップ売りでも提供する。

コンセプトは「笑い合えるビール屋」。誰もが笑顔になれる店にしたいのです。

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今年7月、「稲毛」駅すぐ近くにクラフトビールのお店がオープンしたことをご存じですか? 小誌編集部記者・稲しん子はそのお店「いなびや」を訪問。代表の岡村拓寛さんにお話を伺ってきました。店舗内にブルワリーがあり、さまざまな種類のビールがその場で楽しめる、ビール好きにはたまらないお店でしたよ。

いつかは原料すべてが千葉市産のビールを作ってみたい

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稲しん子(以下・稲)ご実家は長沼と伺いました。やはり稲毛区には思い入れが?

岡村さん(以下・岡)実はたびたび引っ越しを繰り返してきて、人生の半分以下の年月しか稲毛に住んでいなかったりします。だからそこまで稲毛区が故郷という意識がなくて。でも、鋸南町に住んでいた時、そこで見られた人と人の距離の近さは強く印象に残りました。それもあって、稲毛を自分にとって本当の地元にしたい、ビジネスをやるとしたら稲毛だと、お店を開きました。これから10年15年と地域の人たちと交流し、時間を積み重ねていけたらいいなと考えています。

稲・これから本当の意味で故郷にしていきたい、と。

岡・マーケティング的な視点で言っても稲毛は好条件なんです。
この界隈は四十代の方が多いらしい。そのような、嗜好品に興味を持ってもらいやすいと考えられる世代に、家の近所に作りたてのビールが飲める店ができたということはけっこう響くんじゃないかと思ったんです。それと、競合店が見当たらなかったというのも決め手の一つになりました。

稲・立地もいいですね。駅から近いし、人通りも多いし。

岡・ある程度の面積があり、飲食可で、場所も良い物件に巡り会えたのは幸いでした。

稲・開業前は何をやっていらっしゃったんですか?

岡・木更津の「ベアーズ」という酒販店で『TOKYOベイ麦酒』の立ち上げに参画していました。その前の鋸南町にいた時、町おこしの活動を手伝わせてもらっていたのですが、そこでビール作りに取り組んだのが最初。『鋸南麦酒(きょなん株式会社)』の工場長をやらせてもらいました。

稲・なるほど、ビール作りの経験は十分にお持ちだったのですね。それにしても、お店の中で醸造していると知って、驚きました。どこか別の場所で作っているものを運んできているとばかり。

岡・ここで作っています。麦芽やホップは今のところ輸入品ですが、水は店の裏の井戸から引いています。何年先になるかはわかりませんが、いつかは原料すべてが千葉市産のビールを作ってみたいです。

1ヵ月に2~3種類は新しいビールを提供するつもり

稲・何種類くらいのビールを作れるんですか?

岡・自分自身の経験としては20種類くらい。ビールってそれこそ何百種類もありますが、理論的には全部作れる可能性はあるんです。このスタイルのビールはこう作るという情報はだいたい共有されているので。その中で何を作るかは、作り手の考え方次第です。

稲・作ろうと思えば何でも作れてしまうんですね。

岡・「ベアーズ」も「きょなん株式会社」もメーカーで、基本的には瓶詰めの定番商品を販売する方式でしたから、改良はするにせよ、新商品の開発はあまりできませんでした。その点、自分が作ったビールを目の前で飲んでもらえるお店なら、お客様の反応を参考にしながら新しい商品にチャレンジできる。それがお店にした理由でもあるので、色々なビールを作っていきたいです。1ヵ月に2~3種類は新しいビールを提供できると思います。

稲・ビールの種類の違いとは、具体的に何が違うのでしょうか?

岡・ビールの原料は麦芽、ホップ、酵母、それと水ですけれど、
それのどの特徴を前面に出すのかである程度決まってきます。
麦芽にもたくさんの種類がありますし、ホップにも色々ありますし、酵母もさまざまな種類があって、それぞれ掛け算していくと膨大な組み合わせになります。さらに、アルコール度数を何度にするのか、苦みを活かすのか甘さを出すのかといった要素も関係してくる。面白いのは、同じ原料、同じつくり方をしても、作る人が違うと味わいが変わったりするんですよ。

稲・なんと、味が変わってくるとは。ビールって奥が深いですね。

岡・そこがビール作りの醍醐味だと思います。果実とか、本来ビールの原料ではない素材も使えますし、アイデア次第。それに、ビールは発酵期間が短いので新製品がお店にすぐ出せます。結果が早くわかるということは、次のトライにも早く取り掛かれる。そういったサイクルの早さもビール作りの楽しさですね。

地域にちなんだ名前がお客様との会話を生む

稲・今お作りになっているビールの中で一番人気はなんですか?

岡・「稲毛」と「せんげん通り」です。「稲毛」はうちにとってのフラッグシップ。個人的に好きなタイプのビールで、焙煎の深い麦芽を使った、麦茶みたいな風味を感じるビールなのですけれど、今のクラフトビール市場は柑橘系の香りがするタイプがトレンドで、「稲毛」はマイナーなスタイルです。でも、あまり飲む機会がないからこそ差別化ができると思ったし、お客様からは美味しいと言っていただけています。「せんげん通り」は酵母の香りを立たせたもので、大手メーカーさんのビールを飲み慣れている人にはかなり癖が強く感じられると思います。最初は受け入れられるか心配もありましたけれど、甘さがスッキリしているからでしょう、お陰様で好評です。

稲・ちなみにこの場所で最初に作ったビールはどれですか?

岡・「サティ」が最初です。私はイングリッシュスタイル、つまりイギリスでよく飲まれているタイプのビールが好きなので、第1号はそれで行こうと決めていました。
麦芽の美味しさを前面に出して、香ばしさが楽しめるビールです。「稲毛」もイギリス系ですね。基本的にはイギリス系がメニューに必ず入っているようにしたいと思っています。

稲・「稲毛」に「せんげん通り」…ビールに地域にちなんだ名前をつけているんですね。ちなみに私、「サティ」もわかりますよ(笑)。

岡・お客様との会話のきっかけになればと期待して考えたネーミングです。ある年代以上の人は「サティってあのサティですか」と聞いてくるし、昔を知らない若い人たちには「イオン稲毛店は以前サティだったんだよ」などと話ができるじゃないですか。

稲・稲毛の昔話で盛り上がりながら飲むのは楽しそうです。

岡・ビールは楽しいですよ。楽しさをお客様に伝えることが、経営する上で最も大切にしている理念なんです。コンセプトは「笑い合えるビール屋さん」。あのお店楽しそうだなとか、ビールって面白いなとか思ってもらえて、お互いに笑い合えるようなお店にしていきたいと思っています。

稲・地元民としてもぜひ応援したいです。今日はありがとうございました。
いなびや(Instagram)
https://www.instagram.com/inagebeer/
以上は 1 年前に書かれた内容です
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稲毛新聞
稲毛新聞
千葉市内を中心に配布しているフリーペーパー「稲毛新聞」です。 平成8年に創刊、おかげさまで2021年には創刊25周年300号を迎えました。 地域...
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