セーフティウォッチャー歴17年 千葉市議会議長のもうひとつの顔【2024年5月号】

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  2024/5/2
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4月の交通安全週間が過ぎ5月に入ったこの時期は、新1年生も通学に慣れてきた頃だろう。

千葉県警が発表している令和元年~5年における小学生歩行中の交通人身事故の特徴としては、1、2年生には歩行中の死傷者数が多く、学年が上がるにつれて減少傾向となっている。また、学校生活に慣れてきた6月~7月、日没が早い9月~12月にかけて交通事故が増加傾向にあるという。事故は午前7時台、午後2時台~午後5時台に集中しており、登校中21・6%、下校中27・9%、死傷者数は、飛び出しが75・9%と最も多く、次いで、横断違反が13・6%とのこと。こうした千葉県警のデータを鑑みても千葉市教育委員会が平成17年度から行っている、「学校セーフティウォッチ事業」の重要性は高い。2021年に八街で起きた痛ましい子どもの交通事故や、登下校時に巻き込まれる犯罪を考えると、地域住民による見守り活動は必須と言っても過言ではないが、保護者以外の登録者が高齢化により減少しているという。そこで今回は、長年セーフティウォッチャーとして子どもたちの見守りを続けてきた石川弘千葉市議会議長に話を聞いた。(取材/令和6年4月8日)

セーフティウォッチャーとは?

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登下校時、市内の随所で見かける黄色いベスト等を着た大人たちが、子どもの登下校の安全を見守る「セーフティウォッチャー」だ。

登下校の際、通学路にセーフティウォッチャーがいることで、ドライバーに向けて安全運転を促す注意喚起や、不審者による声かけなどの抑止力にもなるという。PTA、ボランティア、青少年育成委員会、自治会など、多くの人々がセーフティウォッチャーとして活動しているなか、ここ数年は保護者以外の登録者の高齢化による減少が課題となっている。

毎朝、幕張4丁目交差点に立つ石川議長

第79代千葉市議会議長の石川弘氏もその一人だ。花見川区選出の千葉市議会議員としての公務の傍ら、朝7時から8時まで幕張4丁目交差点に立ち、子どもたちの登校時の見守りを17年間続けてきた。

千葉市立幕張小学校セーフティウォッチャーとして活動を始めるきっかけとなったのは、地域に新しく地下道が開通し道路事情が変わったこと。

死角が生じた幕張4丁目交差点では交通事故が多発するようになり、当時はまだ議員ではなかったが、幕張町4丁目町内会の活動の一環として地元住民と一緒に、子どもの登校時の見守りを始めた。

行き交う人に声をかけ挨拶を交わす

あれから17年、「毎日、子どもの笑顔からエネルギーをもらっています」と話す石川氏。現在、幕張4丁目交差点は、300人以上の小学生が通り、それ以外にも中高生が300人以上、さらに多くの社会人など、石川氏はすべての人に声をかける。

小中高生には親しみを込めて「おはよう。気を付けて行っておいで」、社会人には「おはようございます」と丁寧に。相手によって声のかけかたを変えたら、リアクションが増えたのだとか。今では子どもから大人までほとんどの人と挨拶を交わすようになった。

子どもたちが元気に挨拶していくなかで、石川氏が心配しているのはいつも遅刻する子だ。サッカー好きな子なら「イエローカード1枚だよ」と声をかけることもある。「どうしたら子どもの心に響くだろうと、声かけの方法を工夫しています。安全を守ることが第一ですが、なんとか遅刻やお休みをしないように自分ができることはないかと考えています」。 また、身体の小さい低学年は車から死角になりやすいため、石川氏は付き添って一緒に横断歩道を渡る。「ドライバーから見えやすいように、横断歩道では大きく手をあげてほしいですが、昔と違って今の子どもたちにはなかなか浸透していません。交通安全教育の充実も必要ですね」と語った。

感謝の言葉など励みになるエピソード

雨や雪の日も、夏の炎天下でも長い間、見守り活動を継続できた秘訣を尋ねると「無理せず自然体です」と石川氏。もともと一度決めたら貫く性格の上、朝の見守りが日課として生活のリズムに組み込まれているため、気負うことなく今日まで来られたという。
石川氏にとって朝の見守りは、日常生活に欠かせないルーティン。出張などで交差点に立てない日は、つい子どもたちのことが気になってしまうのだとか。

これまでに活動を通して嬉しかったことが多々あり、それが励みになると話した。小学校の卒業生からお礼の言葉と「在校生たちをよろしくお願いします」と書かれた手づくりメダルを贈られたこと。通勤する社会人の女性から「勤務先が変わり、もうここを通らなくなりますが、毎朝ありがとうございました」と挨拶されたこと。千葉市議会議長の公務中に、地元の小学校の卒業生という女性から当時のお礼を言われたこと。4年ほど前、千葉県の消防指導員研修では参加者の一人から「私は四街道に住んでいますが、毎朝、車で通るとき交差点でお見掛けしています」と声をかけられたことなど、数えきれないほどのエピソードがあったという。

心無い言葉をかけられることも

渋滞が起きないように交通整理をしているとマナーの悪いドライバーや通行人から心無い言葉をかけられることもある。

「あまりひどい場合は子どもたちが心配ですから、警察に一報入れます。その翌朝は警察官が一緒に交差点に立ってくれたり、地域への巡回を増やしてくれたり、警察の連携体制にも感謝しています。ドライバーや自転車のみなさんは最低限、交通ルールを守ってほしい。信号無視をすれば、いくら子どもたちが気を付けていても事故は起こってしまいます。信号で止まってイライラしないよう5分でも10分でも早めに家を出て余裕を持って通勤してください」
 

千葉市の取り組み

千葉市の取り組みとしては、子どもたちへの安全対策を含め交通事故や犯罪抑制のための予算を確保し、町内会への防犯カメラ設置費用を4分の3補助しており、多くの各町内会が活用している。

さらに、通学路における危険個所を目立つようにカラー化するなど、行政と地域が一体となって子どもたちの安全対策を進めている。そのなかでも、とりわけセーフティウォッチャーを増やすことは重要課題だ。

セーフティウォッチャーは各市立学校 単位で登録する制度となっており、毎年入学シーズンを迎えると、近隣住民や保護者に向けて子どもの見守りの協力を呼びかけているほか、千葉市公式サイトで常時募集もしているが、思うように登録者が増えないという。この課題について石川氏は次のように感じている。

事故や犯罪への危機感を持って

お子さんを交通事故で失ったタレントの風見しんごさんの手記を読んだとき、石川氏は「この世に当たり前のことはない」と痛感したという。「昔と今は交通事情も社会も違いますから、お子さんがいつ事故や犯罪に巻き込まれるかわかりません。保護者のみなさんも、お子さんが学校から無事に帰ってくるのが当たり前だと思わずに危機感を持って、年に数回でも無理のない範囲で登下校時の見守り活動に協力していただけたらと思います」と呼びかけた。

地域コミュニティとしての強みに

今回、石川氏の取材を通して感じたことは、保護者や地域住民が、それぞれ無理なく少しずつでも子どもたちの見守りに協力すれば、自分たちが住んでいる街や、住んでいる人たちを知るなど、地元に目を向けるきっかけにもなるということ。

これらの小さな地域活動の積み重ねが、一致団結した地元の絆となり、地域コミュニティとしての強みにもなっていくのだろう。セーフティウォッチャーは、子どもたちの安全を守るだけではない。挨拶で心を通わせる街、子どもの笑顔があふれる街、そんな活気ある地域づくりも担っているのだ。
石川 弘(いしかわ ひろし)
プロフィール

【経歴】1953年千葉市幕張町生まれ/幕張町4丁目町内会会長/幕張小学校・市川高校・日本大学経済学部卒業/昭和52年日本大学本部国際研究所2ヶ年終了/米国大使館USTS4ヶ年勤務/千葉市消防団第4分団分団長/平成27年千葉市議会議員初当選/令和元年2期目当選/令和5年3期目当選

【現職】千葉市議会79代議長/日本赤十字社千葉県支部救急法指導員/千葉西警察署防犯指導員/千葉市立幕張小学校セーフティウォッチャー/幕張中学校区青少年育成委員会
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