チバカツカンパニー「オレンジカウンティ幕張」【2023年4月号】
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2023/3/29
以下は 1 年前に書かれた内容です
創業41年目を迎える老舗オートバイショップ。スティーブさんのお父様が開業した店で、スティーブさんは二代目。取り扱うオートバイはオフロード競技で何度もチャンピオンを獲得するなど豊富な実績がある海外ブランドを主とし、ファンも多い。
オートバイは自分自身の内面と向き合える乗り物なんです
小紙編集部記者・稲しん子が今回訪ねたのは、稲毛区の浅間神社近く、国道14号に面した場所に店を構える「オレンジカウンティ幕張」。ダカール・ラリーをはじめ海外のレースに多数参戦した経験もある代表取締役のスティーブ亀田さんに、じっくりとオートバイ愛を語っていただきました。
しっかりしたポリシーがある海外ブランド
稲しん子(以下・稲)今、オートバイがブームになっていると聞きました。
スティーブ亀田さん(以下・亀)コロナ禍で、一人で完結できる遊びが流行っているんですよ。通勤でも、感染予防を考えると電車など公共の乗り物に乗りたくない、ということでオートバイに意識が向かう人が多いようです。車よりも免許が取りやすいし車両価格も安いですから。原付の需要も高まっています。原付を体験して、本格的にオートバイに興味を持った若い社会人が増えていると思います。
稲・原付に乗ってみたら楽しくて、さらにいいバイクに乗ってみたくなったと。
亀・私たちと違って、若い子は免許を取っていない世代。高校生を対象にした「取らせない・乗せない・買わせない」という「三ない運動」がつい最近まであった影響で、大人になってもオートバイどころか車の免許も取らない人が増えてしまった面もあるようです。
稲・それが今は逆に大人気。
亀・教習所もかなり混んでいます。ひと頃は何ヵ月も入学待ちの状態だったらしいです。バイク屋さんもみんな忙しいんですけれど、業界全体で困っているのは、新車がすごく品薄状態なこと。メーカーの生産が追いつかず、中古モデルの値上がりがすごいことになっています。
稲・せっかくのブームなのに……。噛み合わないですね。
亀・そんな状況もあって、3月からバイクのサブスクサービスを始めました。うちの場合は新規のユーザーさんをどんどん、という営業方針ではやっていなくて、既存の顧客からの紹介だったり、業務もメンテナンス中心だったりするので、影響は小さくて済んでいるのかも。作業も完全予約制ですしね。
稲・それは堅実です。扱っているのは主に海外のブランドですね。オフロードのバイクとしては海外ブランドは何が優れているのですか。
亀・一つはポリシーでしょうね。例えばフレームは現在主流のアルミではなく、クロームモリブデン鋼、つまり鉄なんです。クロモリと呼んでいるのですが、すごく柔軟性が高い素材。フレーム自体が衝撃を吸収してくれるから乗っていて疲れにくい。アルミフレームは軽くて剛性が高いものの、剛性が強すぎて乗っている人間が疲れてしまうのです。もちろん、アルミ素材も進化していて、今はだいぶしなやかになってきていますけれど、せっかくクロモリという優れた素材があるのだからそれでいいではないか、研究開発費は別のところにかけようという合理的な発想をするのが海外ブランドなんですよ。実際に日本のメーカーを抑え、チャンピオンを何度も獲得しているので、性能も証明されています。
スティーブ亀田さん(以下・亀)コロナ禍で、一人で完結できる遊びが流行っているんですよ。通勤でも、感染予防を考えると電車など公共の乗り物に乗りたくない、ということでオートバイに意識が向かう人が多いようです。車よりも免許が取りやすいし車両価格も安いですから。原付の需要も高まっています。原付を体験して、本格的にオートバイに興味を持った若い社会人が増えていると思います。
稲・原付に乗ってみたら楽しくて、さらにいいバイクに乗ってみたくなったと。
亀・私たちと違って、若い子は免許を取っていない世代。高校生を対象にした「取らせない・乗せない・買わせない」という「三ない運動」がつい最近まであった影響で、大人になってもオートバイどころか車の免許も取らない人が増えてしまった面もあるようです。
稲・それが今は逆に大人気。
亀・教習所もかなり混んでいます。ひと頃は何ヵ月も入学待ちの状態だったらしいです。バイク屋さんもみんな忙しいんですけれど、業界全体で困っているのは、新車がすごく品薄状態なこと。メーカーの生産が追いつかず、中古モデルの値上がりがすごいことになっています。
稲・せっかくのブームなのに……。噛み合わないですね。
亀・そんな状況もあって、3月からバイクのサブスクサービスを始めました。うちの場合は新規のユーザーさんをどんどん、という営業方針ではやっていなくて、既存の顧客からの紹介だったり、業務もメンテナンス中心だったりするので、影響は小さくて済んでいるのかも。作業も完全予約制ですしね。
稲・それは堅実です。扱っているのは主に海外のブランドですね。オフロードのバイクとしては海外ブランドは何が優れているのですか。
亀・一つはポリシーでしょうね。例えばフレームは現在主流のアルミではなく、クロームモリブデン鋼、つまり鉄なんです。クロモリと呼んでいるのですが、すごく柔軟性が高い素材。フレーム自体が衝撃を吸収してくれるから乗っていて疲れにくい。アルミフレームは軽くて剛性が高いものの、剛性が強すぎて乗っている人間が疲れてしまうのです。もちろん、アルミ素材も進化していて、今はだいぶしなやかになってきていますけれど、せっかくクロモリという優れた素材があるのだからそれでいいではないか、研究開発費は別のところにかけようという合理的な発想をするのが海外ブランドなんですよ。実際に日本のメーカーを抑え、チャンピオンを何度も獲得しているので、性能も証明されています。
お客様と一緒にマイペースで楽しんでいきたい
稲・お店にいらっしゃるお客様はどのような方が多いんですか。
亀・オフロードだと、一番のボリュームゾーンは40代でしょうか。ストリートは、それよりやや上の世代に広がる感じです。世代で分ければ、若い子とは比較にならないくらい年配の方が多いです。最近始めたバイクのサブスクは決まった月額料金のみでシーズン中だけバイクに乗ることも可能で、メンテナンス料なども全て料金に含まれているので、こういった新しいサービスでまだまだ少ない若いライダーにバイクの楽しさを気軽に味わってもらうアプローチができれば嬉しいです。
稲・ライディング教室もやっていらっしゃるとか。
亀・いろいろやっています。オフロードの競技者向けの教室や、小学生向けの体験スクールも10年以上続けてきていますよ。今年の4月には、柏秀樹さんというライディングスクールの有名な先生とコラボレーションして、アドベンチャーモデルという車種を楽しみたい人のための教室を始める予定です。
稲・小学生にはどういった感じで教えるんですか。
亀・まずは発進と停止。動いたらすぐ停まることを教えます。オートバイで一番危険なのは停められないことですから、そこはしっかりやります。
稲・「オートバイの魅力とは」を、ずばり言うとしたら?
亀・人それぞれ違う魅力を感じていると思いますが、私が一番の魅力と感じているのは、「完全に一人になれる」というところ。お客様たちとよくツーリングに出かけますが、実は一人で走るのが大好きです。ヘルメットの中は自分だけの空間なんですよね。走りながら風が冷たいとか気持ちいいとか感じながら、景色を眺めているようで、実はけっこう自分自身の内側を覗き込んでいる。仕事のことを考えたり、そのうち自分の人生とはどんな意味があるのかなどと深いところへ入っていきます。
稲・走りながら自分を見つめ直しているんですね。
亀・気の済むまで走って帰ってくると、すっかりリセットされている感じ。そういう一人の世界を演出してくれるところがすごく楽しいと思います。
稲・ちなみに、「幕張」と店名に付いている理由は何ですか。場所は稲毛なのに。
亀・格好いいかなと思って(笑)。県外の人にも伝わりやすいように、というのもあります。幕張なら、だいたいどのあたりなのかわかってもらえますから。ちなみに「オレンジカウンティ」はわかります?
稲・……ええと(笑)。
亀・カリフォルニア州のオレンジ郡のことで、もう20年以上前ですが、オレンジ郡に住んでいたことがありまして。
稲・そうなんですか。どういったわけで?
亀・日本人観光客のガイドをやっていました。モハーヴェ砂漠をオフロードバイクで走るツアーがあったんですよ。ちょうどバブル経済の、日本人がとても景気の良かった時代です。オレンジ郡はオフロードのバイクショップやチューニング屋、レーシングチームなどが集まっている、オフロードの聖地みたいな土地。そこで日本人向けにオートバイのレンタルやツアーを提供する会社を経営する知り合いに誘われてアメリカに行きました。「スティーブ」と名乗るようになったのもその頃です。
稲・今後の展開として、計画していることはありますか?
亀・商売を今以上に大きくしていく気はあまりないです。むしろマイペースでお客様と一緒にオートバイを楽しむ方向にシフトしています。定休日も平日ではなく、お客様の休みに合わせて土日にしてしまうかもしれません。ツーリングに参加するとみんな喜んでくれるのが嬉しいし、いつまで元気でバイクを走らせられるのか分かりません。きっと残り時間は少なくなっているので、もっと乗る機会を増やしたいと思っています(笑)。
稲・商売としてと、ライダーとしてのバイクとの関わりを自分のペースでバランスを取っていくのが大事なんですね。今日はありがとうございました。
亀・オフロードだと、一番のボリュームゾーンは40代でしょうか。ストリートは、それよりやや上の世代に広がる感じです。世代で分ければ、若い子とは比較にならないくらい年配の方が多いです。最近始めたバイクのサブスクは決まった月額料金のみでシーズン中だけバイクに乗ることも可能で、メンテナンス料なども全て料金に含まれているので、こういった新しいサービスでまだまだ少ない若いライダーにバイクの楽しさを気軽に味わってもらうアプローチができれば嬉しいです。
稲・ライディング教室もやっていらっしゃるとか。
亀・いろいろやっています。オフロードの競技者向けの教室や、小学生向けの体験スクールも10年以上続けてきていますよ。今年の4月には、柏秀樹さんというライディングスクールの有名な先生とコラボレーションして、アドベンチャーモデルという車種を楽しみたい人のための教室を始める予定です。
稲・小学生にはどういった感じで教えるんですか。
亀・まずは発進と停止。動いたらすぐ停まることを教えます。オートバイで一番危険なのは停められないことですから、そこはしっかりやります。
稲・「オートバイの魅力とは」を、ずばり言うとしたら?
亀・人それぞれ違う魅力を感じていると思いますが、私が一番の魅力と感じているのは、「完全に一人になれる」というところ。お客様たちとよくツーリングに出かけますが、実は一人で走るのが大好きです。ヘルメットの中は自分だけの空間なんですよね。走りながら風が冷たいとか気持ちいいとか感じながら、景色を眺めているようで、実はけっこう自分自身の内側を覗き込んでいる。仕事のことを考えたり、そのうち自分の人生とはどんな意味があるのかなどと深いところへ入っていきます。
稲・走りながら自分を見つめ直しているんですね。
亀・気の済むまで走って帰ってくると、すっかりリセットされている感じ。そういう一人の世界を演出してくれるところがすごく楽しいと思います。
稲・ちなみに、「幕張」と店名に付いている理由は何ですか。場所は稲毛なのに。
亀・格好いいかなと思って(笑)。県外の人にも伝わりやすいように、というのもあります。幕張なら、だいたいどのあたりなのかわかってもらえますから。ちなみに「オレンジカウンティ」はわかります?
稲・……ええと(笑)。
亀・カリフォルニア州のオレンジ郡のことで、もう20年以上前ですが、オレンジ郡に住んでいたことがありまして。
稲・そうなんですか。どういったわけで?
亀・日本人観光客のガイドをやっていました。モハーヴェ砂漠をオフロードバイクで走るツアーがあったんですよ。ちょうどバブル経済の、日本人がとても景気の良かった時代です。オレンジ郡はオフロードのバイクショップやチューニング屋、レーシングチームなどが集まっている、オフロードの聖地みたいな土地。そこで日本人向けにオートバイのレンタルやツアーを提供する会社を経営する知り合いに誘われてアメリカに行きました。「スティーブ」と名乗るようになったのもその頃です。
稲・今後の展開として、計画していることはありますか?
亀・商売を今以上に大きくしていく気はあまりないです。むしろマイペースでお客様と一緒にオートバイを楽しむ方向にシフトしています。定休日も平日ではなく、お客様の休みに合わせて土日にしてしまうかもしれません。ツーリングに参加するとみんな喜んでくれるのが嬉しいし、いつまで元気でバイクを走らせられるのか分かりません。きっと残り時間は少なくなっているので、もっと乗る機会を増やしたいと思っています(笑)。
稲・商売としてと、ライダーとしてのバイクとの関わりを自分のペースでバランスを取っていくのが大事なんですね。今日はありがとうございました。
以上は 1 年前に書かれた内容です
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