【ちば文化だより第4号】「月刊埋立地」エピソード0 ~月刊埋立地ができるまで~

  2021/4/24
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市民団体「ちば文化センター」のazukenです。
この度は、私達の発行した「月刊埋立地」が沢山の方々からご好評を頂き、たいへん嬉しく思っております。ちなみに、読者の皆様からの一番多い感想は、「埋立地への想いが熱すぎる!」というものですが、実際に編集に携わっていた私達ですら、原稿の確認中に執筆者達の凄まじい熱量にあてられてしまい、激しい眩暈と吐き気に襲われたくらいですから、ご購読の際には、心身の健康保持のため、少しずつゆっくりと読み進めることをお勧めいたします(笑)

そんなわけで、より深く「月刊埋立地」をお楽しみ頂くべく、創刊までの裏話的なエピソードをちょこっとだけご紹介させて頂きます。

まさかの補助金落選からの月刊○○

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「こじまシンポジウム」終了後の記念写真。まさか翌年の補助金獲得に失敗するとは夢にも思っていない幸せな頃。
2019年10月26日。市民団体「ちば文化センター」は地域活性化支援事業の補助金を受けて、千葉市の埋立地のシンボルであった船の公民館「千葉市海洋公民館こじま」についてのシンポジウム(末尾のリンクを参照)を開催しました。当日は、定員を超えるたくさんの方々に来場して頂き、パネリストの専門的なお話や、参加者からの貴重な情報提供などにより、充実した一日となりました。

この事業では、イベントの開催だけではなく、参加した方々から提供していただいた「こじま」の貴重な写真をパネルにして、かつて「こじま」のあった場所である「高洲スポーツセンター」の一室に展示することまでやらせて頂き、確かな手ごたえを感じることが出来たイベントとなりました。

そんなわけで、能天気な我々は、当然次の年も補助金を頂くことが出来るだろうと高をくくり、「こじま」の冊子を作ろう!とか、「こじま音頭」を作成して「こじま祭」を開催しよう!とか、捕らぬ狸の皮算用に勤しみまくっておったのであります。

が、しかし! 結果はなんと見事に落選!!

きっと他の企画は、素晴らしい公益性と気高い理念の塊のような神事業であったのでありましょう…。

絶対に受かると勝手に信じ切っていた我々は、あまりの精神的ショックにより、しばらくの間ぼ~っとしていたのですが、ある日、私のもとに一通のメールが届きました。

「こんにちは、突然のメール失礼します。とある雑誌の編集をしている者なのですが…」

それは、「全国公民館連合会」という何やら秘密結社っぽい響きを持つ公益社団法人が発行している、その名もズバリ「月刊公民館」という雑誌の編集者の方からのメールだったのです!

「月刊公民館」から始まった月刊誌創刊の夢!

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説明しよう!謎の雑誌「月刊公民館」とは、全国に1万4千館以上ある公民館の連合組織が発行する、公民館情報誌なのであ~る!

内容は、アカデミックな小論文からポップなエッセイまでと幅広く、様々な角度から公民館の理念や、社会教育活動を紹介する雑誌である。創刊は1956年と、大変歴史のある由緒正しい月刊誌なのだ!

というわけで、知られざる月刊紙の中の月刊誌。「月刊公民館」様からのメールには、以前私がこの「ちばみなとjp」に寄稿した「こじま」の歴史についてのエッセイを、大変興味深い文章なので是非とも寄稿して欲しいとの依頼が綴られていました。

補助金の申請に失敗し、「どうせ俺達のやろうとしていることは、社会から必要とされていないんだ…」と、失意のどん底にあった我々に、一筋の光明を与えてくれた「月刊公民館」。しかも、「こじま」の記事は、巻頭特集として扱っていただけるという。また、発行部数も1万5千部ということで、今は無き「千葉市海洋公民館こじま」の記事を、全国の公民館関係者や利用者の方々にお伝えすることが出来るという、まさに一発逆転のサヨナラホームランのような出来事が起こったのでありました。

このことを、早速「ちば文化センター」のメンバーに伝えたところ、神作センター長は、「月刊!?」「本当に月刊なのか、公民館!!」と、激しく「月刊」に興奮!

「月刊公民館!」「嗚呼、月刊公民館‼」と幾度か叫んだ後、クルリと振り返ってこう言ったのである。

「俺達もなんか月刊誌作りたい」と。
「なんでもいいから、月刊○○作りたい」と。

消去法?で決まった「月刊埋立地」というテーマ

というわけで、雑誌の内容よりも先に「月刊○○」という名前だけが決まってしまったのですが、肝心のテーマが決まらない。だいたい「ちば文」(ちば文化センターの略称)のメンバーは、「ちきゅう救い屋」(そもそもそういう職種あるんでしょうか?)、「IT技術者?」(最近バ美肉して、ネットの中では美少女になりました)、「公務員」(昔は茶髪でロン毛でパーマという、公務員としてあり得ない身なりでした。)、「教員」(この人のクラスに配属になった女子が、それだけで泣き出したという逸話があります)、「広告代理店」(貝塚でワークショップ展開したり、イベントで誰一人笑わないお笑い芸やったり、一体何を広告しているのか全く分かりません)、「水素屋?」(他にもハンモック売ってたり、アルギニン売ってたり、最近ではオゾン?を売ろうとしています)というあまりにもバラバラで、謎の職業の人も多いため、共通項目が少なさすぎるのです。

結局、メンバー全員の共通項目を洗い出したところ、埋立地育ちだったり、埋立地勤務だったり、埋立地在住だったりして、「千葉の埋立地」という要素だけが、「ちば文」メンバーを共通して貫く軸だったので、そのまま雑誌のタイトルも「月刊埋立地」になってしまいました。

センター長は、本のタイトルが決まると、「今度、ちば文で月刊埋立地っていう、世界初の千葉の埋立地に特化した本作るんで、皆さん宜しくお願いしま~す!」と果敢に周囲に広報活動を開始しました。当然ですが、本の内容については全く決まっていないにも関わらずです(笑)。

難航する製作

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「月刊埋立地」表紙絵のラフスケッチ
千葉の埋立地にフォーカスした雑誌といっても、いざ作ろうとすると中々難しく、何度も千葉街道沿いのファミレスで編集会議を行うも、具体的な記事の内容が中々決まりませんでした。

全編架空のネタ的な内容にするのか?
史実を掘り下げたアカデミックな内容にするのか?
千葉の市制100周年とどう絡めるのか?

色々な案が出ては消え、出ては消えを繰り返していきましたが、センター長の広報活動だけが着実に成果をあげていき、本の内容が全く決まっていないのにも関わらず、周囲からは「月刊埋立地の発行を楽しみにしてます♪」などとお声がかかる始末。

最低でも、ビジュアル的なイメージだけは統一しておこうと、急遽、画家のジョルジュ・ピコー氏に制作を依頼し、あの強烈なインパクトの表紙絵が先行して出来上がりました。

表紙絵が出来てしまうと、全員さすがに本気で焦り始めて、話はトントン拍子に進みだし、サブカル要素とアカデミック要素は程よく半々。架空要素も強めに入れるが、紙面内の広告は実在のお店のものだけにして、空想と現実の狭間の様な紙面とする等の具体的な内容が固まりました。確か、この時すでに秋になっていたような気がします。

また、きちんとぺージ割もしたはずだったのですが、そんなことに従うような羊のように従順な執筆陣などではなく、指定されたページ数なんてガン無視で、己の情熱を120%原稿にぶちまけたようなアッツアツの記事が次々と届き、その度に神作センター長が悲鳴を上げ、紙面デザインを担当してくれた真鍋さんが「何とかします!」と悲壮な覚悟を固めて紙面に無理やり押し込んでいったのです。(中にはきちんと指定を守ってくれた仏様の様な執筆者もいらっしゃいます。ホントに少しだけどw)

しかし、印刷の締め切り直前になっても、メンバーの劇団みちたかからの原稿は届きませんでした。ちなみに彼の担当箇所は、ページ数2ページで、かつて彼が「千葉ポートタワー」の職員だった頃の思い出を綴るというものでした。

「これはもしや、みちたか氏は原稿落したか!?」と皆の不安が高まった頃、「こんちゃっ!原稿遅くなってすみませんでした~」という軽すぎるメールと共に、待ちに待った原稿のデータが送信されてきました。

メッセンジャーをぼんやりと見ていたら、神作氏の「新城さんお疲れ!」の後に何もメッセージが続きません。私も何か問題があったのかと心配になり、添付されてきたデータを確認してビックリ!

ページ数2ページのはずが、どうしてそうなったのか10ページに激増w。そして何より、文章のはずだったのに、まさかの漫画になってました!(爆)

おい、みちたか!漫画って何よ!
2pが10pになっちゃったのは譲歩するとしても、漫画は無いっしょwwww
そもそも、横文字の文と漫画じゃ、本の閉じる向きが反対ですから~~!!

という、信じられないトラブルに見舞われながらも、デザイナーの真鍋さんは、またもや「何とかします!」と、鬼神の様な働きで当初予定の100ページに全てを収めきってくれたのでありました。

そんなわけで、ぎゅうぎゅうに執筆陣の情熱と情報を詰め込んだために、印刷がうまく出るかが分からなかったのですが、印刷を担当してくれたケイタさんが、色々と工夫してくださり、なんとか「月刊埋立地」を完成させることが出来たのであります。

そんなこんなで、「月刊埋立地」を皆様のお手元に届けることが出るようになりました。
ひょんなことから本を作ることになっちゃいましたが、本当に製本されて手元に届くと、感激もひとしおであります。

月刊とうたいながらも、月刊誌ではなく、千葉の埋立地というごくごく限られた地域をテーマにした本にもかかわらず、たくさんの方々にご興味を持っていただくことができ、心から嬉しく思います。「ちば文化センター」の次なる活動にも、どうぞご期待ください!

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