埋立地歴史散歩02~あの日の「こじま」が、コンピューター上で甦る!~
2018/5/4
以下は 6 年前に書かれた内容です
かつて千葉の埋立地のシンボルであった「千葉市海洋公民館こじま」に関する普及活動を行っている団体「ちば素敵艦隊」は、在りし日の「こじま」の姿を再現するために、設計用のソフトを使用して「こじま」の3D(三次元)データを作成しました。まだ製作途中ではありますが、写真ではなく、コンピューター上で立体的に再現された「こじま」の画像をご覧ください。
正確な「こじま」の再現の為には、前身である海防艦「志賀」時代のデータを作成することから始めなくてはなりません
「こじま」の模型や3Dデータを作成する際に、一番の障壁となるのは「こじま」の正確な図面が存在していないことです。そこで、ある程度正確な図面が残されている、海防艦「志賀」時代の資料を基にして、まずは「こじま」の前身である「志賀」の3Dデータを作成しました。
海上に浮かぶ海防艦「志賀」(こじまの前身)の3D画像
海防艦「志賀」の3Dデータ02(データ作成:1/200艦船模型倶楽部マイロン氏)
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
海防艦「志賀」の残された写真は極めて少なく、公開されているものは公試時と推測される写真が一枚あるだけです。「志賀」は戦時中、主に朝鮮半島から日本海側の海域で行動していましたが、無事に航海が終わってどこかの港に入港する時には、このような光景が見られたのかもしれません。
海防艦「志賀」の最大の武器は、艦尾に積んだ16基もの爆雷投射器でした
海防艦「志賀」の3Dデータ03(データ作成:1/200艦船模型倶楽部マイロン氏)
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
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「志賀」は戦闘艦としてはとても小さな部類であり、排水量(軍艦の大きさを示す基準)は、世界最大の戦艦「大和」と比べると約1/70しかありません。しかし、潜水艦に対する攻撃力は極限まで高められており、艦尾の甲板上には何と16基もの爆雷投射器が半埋め込み式に装備されていました。
海防艦「志賀」の艦橋付近の3D画像
海防艦「志賀」の3Dデータ04(データ作成:1/200艦船模型倶楽部マイロン氏)
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
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「こじま」は、数度にわたる大改装を経て、「志賀」の時とは別の船といっても良いくらいに大きな変貌を遂げましたが、艦橋の前面には海防艦時代の面影が良く残っていました。艦橋前面の張り出し上に据え付けられている機銃は25㎜単装機銃であり、海上保安庁時代は台座部が円形に改良されて、20㎜単装機銃が装備されていました。
艦橋内部からの眺め
海防艦「志賀」の3Dデータ05(データ作成:1/200艦船模型倶楽部マイロン氏)
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
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今回の3Dデータ作成では、出来る限り内部の状況まで再現することにチャレンジしており、この画像は艦橋内部(左舷側)から艦首方向を見たものです。左手前にあるのが双眼鏡で、窓枠の外には25㎜単装機銃の銃身が覗いています。
改装記録を辿って、ようやく「こじま」の3Dデータが完成!
「こじま」の3Dデータ01(データ作成:1/200艦船模型倶楽部マイロン氏)
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
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海防艦「志賀」の状態から、改装履歴の通りにデータを変更していき、やっと「こじま」の姿になりました!海防艦時代と比べると、甲板上の構造物が大型化しており、ヨットのような外観になっています。
海辺に佇む「こじま」の3D画像
「こじま」の3Dデータ03(データ作成:1/200艦船模型倶楽部マイロン氏)
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
「こじま」が稲毛海岸に曳航されてきた時、もしかしたらこのような光景が見られたのかもしれません。ただし、実際の「こじま」は舳先を沖合に向けて接岸されたので、この画像とは前後方向が逆になります。また、曳航時は救命ボートを甲板上に4隻積んだ状態でしたが、開館時には2隻に減らされました。
後方から見た「こじま」の3D画像
「こじま」の3Dデータ04(データ作成:1/200艦船模型倶楽部マイロン氏)
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
埋め立て後の、池の中に浮かんだ状態の「こじま」は、この角度から撮られた写真が数多く存在します。きっと、カメラのファインダーから覗くと、おさまりの良い構図になったからでしょう。確かに、この角度から見ると、僅か全長約80mの船とは思えないほど長大な印象を受けます。
「こじま」甲板上の3D画像
「こじま」の3Dデータ05(データ作成:1/200艦船模型倶楽部マイロン氏)
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
今回作成しているデータは3Dなので、任意の視点から「こじま」を眺めることが出来ます。この画像は、煙突付近の右舷ボートデッキから艦首方向を望んだものです。正面の大きな通風筒の横にある階段を降りると、宿泊施設になっていた元船員室の入口に出ました。
今後の「こじま」3Dデータの活用法について
「こじま」の3Dデータ02(データ作成:1/200艦船模型倶楽部マイロン氏)
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp/lt_goldman68
「ちば素敵艦隊」では、今回作成した3Dデータを基にして、ヴァーチャル・リアリティで「こじま」に乗り込むことができるようなソフトの開発や、3Dプリンターによる模型の製作等、様々な形で在りし日の「こじま」を再現していく予定です!
「ちば素敵艦隊」では、以前も3Dデータから1/200スケールで「こじま」のラジコン模型を製作していますが、今回はデータの精度を格段に上げて再製作に臨みました。一例としては、様々な構造物の位置についても、骨組みから整合性を考えて配置する等、正確さに磨きをかけたものになっています。しかし、艦首の形状等不明な点も数多く存在し、今後も調査・研究を進めていきたいと考えています。
以上は 6 年前に書かれた内容です
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