千葉一族以前の英雄たちの「心のうち」千葉一族盛衰記第二十話【2025年1月号】
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2025/1/9
土地所有制度からみる千葉一族前史③ けやき家こもん
上の図は、ここまで紹介してきた人物たちが生きた時代の年表です。年表に書かれている「主な出来事」は、土地所有制度の変遷と、政治的な社会背景です。
各人物たちの名前が書かれている縦位置は、およそその人物が生まれた時期とお考えください。加えて、忠常から数代後の、千葉姓を名乗る常重が生きた時代背景までを概観していただけるように作成しました。常重の後、いよいよ千葉常胤が歴史の舞台に登場します。
各人物たちの名前が書かれている縦位置は、およそその人物が生まれた時期とお考えください。加えて、忠常から数代後の、千葉姓を名乗る常重が生きた時代背景までを概観していただけるように作成しました。常重の後、いよいよ千葉常胤が歴史の舞台に登場します。
心のうちに分け入ってみよう
「英雄たちの選択」というNHKの歴史番組があります。歴史を大きく変える決断をした人物たちの「選択」の瞬間をとらえ、時代考証を前提に「心のうち」を想像して紹介するという斬新な作り方になっており、とても楽しい番組です。
そこで今回は、この番組の手法をお借りして、桓武天皇から平忠常までの「英雄たち」が抱いたであろう「心のうち」に分け入ってみることにしましょう。年表と見比べながら、「英雄たち」の声を手掛かりに、その時代に思いを馳せてみてください。
桓武天皇
「私が子どものころ、墾田永年私財法ができた。思えば、すべての土地と民は天皇のもの、という律令制の建前が崩れたのはこの時からだった。私も天皇としてできる限りのことはしたが、税金を納められない民が村にあふれ、田畑が荒廃してしまっては元も子もない。残念だが、私有地を認めないわけにはゆかぬか…」
平高望
「都は退屈でかなわん。加えて、やれ親王だの王だのがあふれかえり、私のように嫡流でない皇族が都にいてもどうにもならん。いっそ思い切って地方に行き、自分の力で開墾し、己の実力を試してみたいものだ。私が地方長官に任命されたら、絶対に任地に赴任して、まだ見ぬ未開の地を開拓するのだ」
平良文
「一族の者同士が土地をめぐって争うのは、実に馬鹿らしい。血縁同士の争いからは極力距離をおいて、朝廷とのつながりを大切に生きることだ。それが、私や私の後につづく一族の糧となるはずだ。それにしても甥の将門は、実力はあるのに叔父や従弟との争いに巻き込まれ、さぞつらい思いをしていることだろう。気の毒だが、もはやどうにもならんか…」
平将門
「いきがかりで戦に明け暮れる人生だが、悔いはない。俺はよく生きた。しかし、気に障るのは国司たちよ。俺を信じてついてきてくれた下総の民たちの生活は、安全は、俺がこの腕で守ってきた。それを、何者かもわからん国司風情が、法外な取り分を乗せて税金の徴収だなどと、ふざけたことを申すな。朝廷とて、税ばかり取り立てて何もしてくれないではないか」
平忠常
「不遜に聞こえるかもしれんが、将門公の苦悩が俺にはよくわかる。これまでご先祖様が血と汗を流して守り抜いた土地や民を、クソの役にも立たん国司風情に蹂躙されるわけにはいかん。それにつけても安房の国司よ。俺に対して、なめた召喚命令などよこしおって。ことと次第によっては、その場でたたき殺してくれる」
いかがでしょうか。私が考える英雄たちの「心のうち」は以上となります。皆さまは皆さまなりの、「千葉一族祖先の英雄たち」の心のうちを想像してみてください。
次回からは、忠常以降の時代をみていきます。
そこで今回は、この番組の手法をお借りして、桓武天皇から平忠常までの「英雄たち」が抱いたであろう「心のうち」に分け入ってみることにしましょう。年表と見比べながら、「英雄たち」の声を手掛かりに、その時代に思いを馳せてみてください。
桓武天皇
「私が子どものころ、墾田永年私財法ができた。思えば、すべての土地と民は天皇のもの、という律令制の建前が崩れたのはこの時からだった。私も天皇としてできる限りのことはしたが、税金を納められない民が村にあふれ、田畑が荒廃してしまっては元も子もない。残念だが、私有地を認めないわけにはゆかぬか…」
平高望
「都は退屈でかなわん。加えて、やれ親王だの王だのがあふれかえり、私のように嫡流でない皇族が都にいてもどうにもならん。いっそ思い切って地方に行き、自分の力で開墾し、己の実力を試してみたいものだ。私が地方長官に任命されたら、絶対に任地に赴任して、まだ見ぬ未開の地を開拓するのだ」
平良文
「一族の者同士が土地をめぐって争うのは、実に馬鹿らしい。血縁同士の争いからは極力距離をおいて、朝廷とのつながりを大切に生きることだ。それが、私や私の後につづく一族の糧となるはずだ。それにしても甥の将門は、実力はあるのに叔父や従弟との争いに巻き込まれ、さぞつらい思いをしていることだろう。気の毒だが、もはやどうにもならんか…」
平将門
「いきがかりで戦に明け暮れる人生だが、悔いはない。俺はよく生きた。しかし、気に障るのは国司たちよ。俺を信じてついてきてくれた下総の民たちの生活は、安全は、俺がこの腕で守ってきた。それを、何者かもわからん国司風情が、法外な取り分を乗せて税金の徴収だなどと、ふざけたことを申すな。朝廷とて、税ばかり取り立てて何もしてくれないではないか」
平忠常
「不遜に聞こえるかもしれんが、将門公の苦悩が俺にはよくわかる。これまでご先祖様が血と汗を流して守り抜いた土地や民を、クソの役にも立たん国司風情に蹂躙されるわけにはいかん。それにつけても安房の国司よ。俺に対して、なめた召喚命令などよこしおって。ことと次第によっては、その場でたたき殺してくれる」
いかがでしょうか。私が考える英雄たちの「心のうち」は以上となります。皆さまは皆さまなりの、「千葉一族祖先の英雄たち」の心のうちを想像してみてください。
次回からは、忠常以降の時代をみていきます。
【著者プロフィール】
昭和46年佐倉市生まれ。郷土史や伝説をわかりやすく、楽しく伝える目的で、落語調で歴史を語る「歴史噺家」として活動。著書に「佐倉市域の歴史と伝説」がある。
昭和46年佐倉市生まれ。郷土史や伝説をわかりやすく、楽しく伝える目的で、落語調で歴史を語る「歴史噺家」として活動。著書に「佐倉市域の歴史と伝説」がある。
このまとめ記事の作者
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